暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos48父の夢/娘たちの願い〜Florian family's Dream〜
[9/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の成果が、わたし達が生まれた理由が、そして博士と一緒に抱いた希望が、あと数年で実を結ぶかもってことが判った。だから喜んだ。わたしも、お姉ちゃんも、博士も、みんな・・・! なのに!!」

キリエが感情を爆発させた。怒りじゃない。悲しみが大半の苦しみ。アミティエが「博士は、その成果を見る事が出来ないんです」とキリエの話を継ぐように続けた。

「原因不明な不治の病気に罹ってしまって、博士はその数年の時間を生きられなくなってしまいました」

「あとちょっとなのに! けど、博士にとってそのちょっとが、長すぎたのよ」

フローリアン姉妹は続ける。この時代への時間遡航および異世界間渡航のシステムは、フローリアン博士が偶然発見したオーパーツ――この世界で言うロストロギアを、博士が解析し、使用できるようになる直前までこぎつけた代物だったらしい。しかし博士は余程の人格者だったようで、そのシステムを封印したんだと言う。

「フローリアン博士は素晴らしい人というのは良く解った。だが、そのシステムを使えば、数年先の未来へ連れて行けるし、未来で病気の治療法を探すことも出来たんじゃないのか? 前者に関してはおそらく博士は拒んだかもしれないが、後者くらいなら許してくれると思うんだが」

「・・・博士はそれも拒みました。過去に戻って運命を変えることも、今を生きる事を放棄して未来へ逃げることも、それは人がしていいことじゃないと。問題はそれだけではないんです。時間移動できるのは1人か2人が限度。
しかも体に途轍もない負担が掛かってしまうので、人間である博士には、たとえ健康体であったとしても耐えられないんです。人より何十倍も頑丈な私たちですら負担が大きく、こちらに来てすぐはまともに動けませんでした」

クロノの問いに悲痛な声色で答えてくれたアミティエ。俺もクロノも、彼女たちが抱く悲痛な思いに俯きかけてしまう。

「でもわたしは諦めなかった。お姉ちゃんは、時間移動に頼らない別の角度から博士を救う手段を探していたけど、わたしは時間移動しかないって思ってずっとシミュレーションを繰り返した。
だけど、博士の病気のきっかけになりそうな出来事、死蝕の大拡散とか、わたしが求める過去を変えようとすると、必ずと言うようにエラーが出たの。何度も何度も繰り返したけど、クリアになることはなかった。正直、諦めそうになった」

「今思えば、私もどこかで時間移動に懸けていたのかもしれません。だって世界を殺す死蝕なんて言う大規模な現象や、博士を蝕む不治の病も、どうすれば防げるのか、どうすれば治せるのか、何をしたって判らなかったから・・・。
でも、エラーを見る度に諦める思いが強くなりました。何が起こるか判らない状態で、とりあえず過去に戻って何かしてみる。それはあまりにもリスキーですから。生
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ