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第二章
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は事情がよく飲み込めず口を少し尖らせていぶかしんでいた。浩二も考える顔になって仲間達を見ていた。
「今日の放課後百貨店のスポーツ用品店にまで言ってくれないか」
「それで勝って来て欲しいものがあるのよ」
「野球部とソフト部両方でか」
「そうよ。左用のキャッチャーミット」
 加奈が言った。
「それが欲しいんだよ、そこにしかなくてな」
「左用のキャッチャーミット!?」
 真里はそれを聞いて浩二と同じように眉を顰めさせて考える顔になった。
「そんなのあるの!?」
「ええ、そこだけにね」
「俺達は俺達でちょっと買出しに行くから」
「貴女達はそっちをお願いできるかしら」
「左用のキャッチャーミットか」
 浩二はそれを頭の中でも復唱してどうにも首を傾げさせていた。普通キャッチャーというのは右利きである。それで左用のミットとは実に不思議だ。ファーストミットの間違いではないかとさえ思った。
「あのよ」
 あまりにも不自然なのでもう一度問うた。
「本当にそれか?」
 隼人と加奈に対して問うた。
「ファーストミットじゃなくて」
「ああ、間違いないよ」
「それよ」
「わかったよ」
 答えはしたがまたいぶかしんでいた。
「それで百貨店だよな」
「ああ」
 隼人はまた答えた。
「いいよな」
「まあな。百貨店か」
 百貨店は隣町だ。電車を使わないとちょっと行けない距離にある。駅のすぐ側にあるので行くのはかなり楽なのであるが少し面倒なのも事実だ。
「じゃあ行くか」
「ええ」
 真里は浩二の言葉に頷いた。何はともあれその奇妙なミットを買う為に百貨店に向かうことになったのであった。


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