皮肉を嫌う男
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(白蘭の命令は絶対に聞いて。例えそれがどんな命令だとしても)
シーナはただ、姫の命令に従ったまでなのだ。白蘭に寝返ったなどと、冗談にもならない。むしろ、一番白蘭を憎んでさえいるのではないだろうか。それでも白蘭の暗殺に動かないのは、やはり、姫の命令だからで――――
運命のあの日。
シーナを責めるような罵詈雑言を吐き出したのは、記憶に新しい。実際、シーナは姫の命令など気にせず、ユニを守るべきだったのだ。二人は主従関係よりも、親友に近い仲だったのだから。
それでもシーナはユニに薬を盛った。白蘭の、姫の命令に従う方を選んだのだ。
そして、白蘭が見ていることも気にせず壊れたように涙を落としていた。
シーナ。お前は愚かだ。馬鹿者だ。そんなに苦しむくらいなら、命令など無視した方がよほど賢かったのだ。
自分を守れるのは自分だけ。今、シーナの心を守れるのは、シーナしかいないではないか。
自分で自分を傷つけていちゃ世話ない。そんな自傷行為のような真似をしていたら、いつか勝手に死んでしまいそうだ。
なあシーナ。お前がいつでも皮肉を纏っている原因は、それもあるのではないだろうか? 自分を大事にしないから、お前は皮肉を言うのだと、俺は最近そう思うよ。
*
それは突然のことだった。日本のホテルに滞在していたときの、ボンゴレからの襲撃。それはある程度予想できたことだった。まさか、二人だけで飛び込んできて、最奥の部屋まで辿り着くとは思っていなかったが。
そこにいたのは、嵐の守護者の獄寺隼人と雨の守護者の山本武だった。俺の首が目の前にあるというのに、彼らの視界に映るのは、なぜかシーナのみ。どう考えても不自然で、不可解だった。
「椎菜……?! お前、どうしてこんなところに?!」
知り合い、なのか? シーナとボンゴレの幹部が? いったい何時から?
そして早々に彼らは逃亡した。一度も俺に武器を向けずに、だ。どれほどシーナのことが衝撃だったのか、それだけで想像できるというものだ。
その後、シーナに事情を問いただすと、彼女は簡単に彼らとの関係を吐いた。いったい何時知り合ったのか、どのぐらい親しかったのか、彼女は訊ねられるままに答えた。
そして知ったシーナと彼らの関係に、俺は目眩を覚える。
親しいと言う言葉では足りない。あのボンゴレのボスと、まるで家族のように育ったらしい。守護者全員とも勿論知り合い。むしろ俺たちのところに来る前までは、ボンゴレの一員と数えられることさえあったという。
まさかあのシーナが! 姫の友人で入江の部下で白蘭から目をつけられているシーナが、ボンゴレのボスと幼馴染だと?
「でも、もう長いこと
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