皮肉を言う女
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「でもね、生憎と、私たちはそんな能力を持っていないの。情報が、必要なの、何よりも」
γは、席を立ってどこかへ行ってしまった。怒ったのか失望したのか、私に対してどう思ったのかは分からない。分かるのは、彼が私を説得するのを諦めてくれたと言う事だけ。
「お前の皮肉は嫌いだ、シーナ」
皮肉のつもりは無かったの。本当なのよ、γ。
そして、私がスパイの話題を出して四日目の朝、ユニは突然私のスパイの作戦を許可した。いくつかの条件は、出されたけれど。
「まず、シーナ、絶対に死なないで。情報の収集や秘密を守ることよりも、自分の命を優先して」
「分かった」
「次に、百蘭の命令は絶対に聞いて。例えそれがどんな命令だとしても」
「うん、分かった」
「シーナ、貴女はときどき、我慢が足りない。辛抱してね。どんなことがあろうと、スパイだと悟られてはいけない。耐えて、時を待つのよ」
分かってると、何度もユニに約束した。いつもの、何かを覚悟した目をしているユニの後ろに立つγは、突然意見を変えたユニを不審な目で見ていて、そして私には、死にに行くようなものだと軽蔑の眼差しを突きつけていた。
「γ、そんな目で見ないでよ。さっきも約束していたでしょ? 私は自分の命を優先するって」
「そんなことになったら、うちのファミリーの旗色が悪くなるのは目に見えてる。賢くないと言っているんだ」
「でも、ユニは許可してくれた。あの目は、何かを知っていて、それから何かを覚悟をしている目だった」
「お前に姫の何が分かる」
「知ってるよ。少なくとも、貴方よりは」
「不愉快だ」
「それは良かった」
にこりと笑えば、彼の眉間の皺は深くなるばかりだった。私もそうなるだろうことは分かっていてこの顔に笑みを浮かべるのだから、ああ、意地が悪くなったものだ。
「シーナ、お前のことは気に入らないが、一応仲間だ。死んでほしくないんだ」
「ええ?! まさかγからそんな言葉が出るとは思ってなかった! どうしたの?」
「…………いいか、覚えておけよ、小娘。大切であればあるほど、護るときには武器を握らなければならない。しかし、武器を持ったままでは、大切な人間を抱きしめられないんだ。それを決して、忘れるな」
彼の目は、ユニとはまた違った覚悟を持っているようだった。その眼球には、確かに私の姿が映っているのに、彼は私を見てはいない。彼が見ているのは、今の大空であるユニ、そしてアリアさんだけなのだ。
彼は彼で、さまざまなものを背負っているのかもしれない。
「そう、ご忠告どーも。でも今のあなたは、武器をもっていないように見えるけど? そうだね、アリアさんが死んでから、ずっと」
「……何が言いたい?」
「いいえ、別に。――――ただ、武器を
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