第六話
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勢を立て直して鈴仙の攻撃を受け流すと、二・三歩バックステップをして距離をとった。
「性能は互角と言ったところか」
「お互いボロボロですけどね!」
一進一退の攻防戦が繰り広げられる。戦闘は次第に激しさを増し、さとり達でも肉眼で追いつけるのがやっとというくらいのスピードになっていた。当然援護をするどころの話ではなく、ただ見守ることしかできない。
「どっどうしよう……お姉ちゃん」
「……こいし、まずはにとりさんをここに連れて来て。安全を確保しないと」
「わかった!」
辺りを見渡すと、にとりは部屋の隅で倒れていた。意識ははっきりしているらしく、微かに目を開けて鈴仙の方を見ている。とりあえず彼女の元まで行くと、こいしは体に負担をかけないよう注意しながら、さとりのもとまで連れていった。
「大丈夫ですか!」
「あははっ……ごめん」
「にとりさん、とりあえずあの水を元に戻してもらえないでしょうか」
「あ、うん」
にとりは懐から竹の水筒を取り出すと、大量の水を元に戻した。
「これでいいね。さっきはありがとう」
「いえ、お礼を言うのはこちらです。それに……現状に変わりはありません」
現在鈴仙がなんとか男を抑えているが、彼女が打開策を考えていなければ、全滅は免れていなかっただろう。それに現状どこまで耐えられるかもわからない。男の薬が再度きれるまで戦える可能性も低いし、鈴仙の薬が先にきれてしまえば、副作用の関係で動けなくなるだろう。
勝負は短時間で決まる。三人がそう考え始めた時だった。
「甘い!」
「なっ……ぐふっ!?」
急に壁が崩れる音が室内を駆け巡る。そして三人の視界に入ったのは、大きくへこんだ壁とその下でぐったりとした男だった。
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