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見村まつ季 は聖女じゃない。
第一話 傷ついた?
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は答えなかった。
「死ねたらいいなーって思うけど、私も完璧じゃないし、まだこの世にいたいのかも。」
完璧ってなんだ。
だけど、"まだこの世にいたい"か…、良かった。
俺は薄々、見村はもしかしたら本当に死ぬのかもしれない、と思う部分があったから。
俺にとってまつ季は、ほとんど男友達みたいなもんだし…(女だけど)
やっぱいなくなったら怖いし死んでほしくない。まつ季もまつ季で、色々と考える部分があるんだろうけど生きなきゃダメだよなぁ。

っていうのは俺の固定観念かもだけどさ!


なぁ、死ぬなよ。



今年の夏休みに、俺は見村と図書館にいった。
図書館てあんま好きじゃないんだけどな。
まつ季は、市内で一番まともな場所、なんて言ってたな、わかんねえ。

本を読む以外とくに何をするでもなかった

たまに見村が俺をからかうぐらいのやり取りだけで。




「あのさ、どこの高校ねらってんの」

その日の帰り道、まつ季が俺に訊いてきた。

「おれ…、うーん。まだ決まんない。」

図書館にいたのに高校入試に関する本なんて一冊も読まなかった。
そう言えば俺受験生か…
俺は白いスニーカーを履いていた。

「まぁ、きみが受けられる高校なんてたかが知れてるけどね。」
「ひでえなー」
まつ季が意地悪そうな笑顔を作った。
まつ季の笑顔にはいつも余計なニュアンスが含まれている

俺は一応きいてみた。

「…見村はー?」

「早稲田付属か、きみと同じとこ。」

…えー。
「またご冗談を。後者は止めといたほうがいいですって。」
「だって俺と同じ高校なんて、たかが知れてるだろ?」

「傷ついた?」
またでた、あのにくたらしい笑顔

「べつにー、だって俺の通知表見ただろぉ。」

「うん、2がついてたのは衝撃的だった」

まつ季がニヤニヤして俺をみた。
まつ季と俺の身長は、2ミリまつ季のほうが高いだけで目線は同じ高さだから足下を見てても、否応なくまつ季の表情が視界に入る。

「見村が俺に見せてきた通知表、オール5だったけど見村っていつもあんな成績なん?」

「あぁ、あれは、オール5だったから見せただけ。いつもは大体美術が4。」
「ふーん。」
俺は自分が不協和音を聴いた音楽家のごとく不快感溢れる表情をしたのがわかった。
まつ季にバレてなきゃいいけど。



俺とまつ季は別れるべきところで別れた。
「じゃあね」

「うん、あのさぁ。きみと同じとこ受けるかもしれない、っていうの、本当なんだよ」


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