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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第26話 初陣 その6
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てしまったな」
 別に資料整理は嫌いじゃないんだが、そういってくれるということは、それなりにリンチも俺のことを気にしてくれているということなのだと思う。
「また明日から仕事を頼む。その前に今夜はウチに寄ってくれ。妻と娘が貴官の為に結構な量のジャンバラヤを作って待っている。貴官に来てもらわないと、全部俺が処分する事になるから、悪いが手伝ってくれると助かる」
 気恥ずかしそうに言うリンチに俺は承知しましたと応えざるを得なかった。


 結果として俺はそれから半年間、第七一警備艦隊に所属し、残務処理を行った。第七一警備艦隊や他の巡視艦隊が惑星イジェクオン上空で軌道係留されている間は、星域警備を第一艦隊第二分艦隊が担当した。俺がグレゴリー叔父の養子と知っている分艦隊司令官からは何度も呼び出しを受けるはめになる。

 リンチは俺より一ヶ月早く、別の任地へ赴くことになった。行き先はトリプラ星域方面所属の偵察戦隊司令官。今と殆ど同じ業務だが、有人星域ではあってもケリムとは比較にならない辺境地域だ。階級が降格ではないから、昇進見送りということだろう。第七一警備艦隊からも一〇〇隻前後がこれに同行することになる。

 カーチェント中佐はリンチと入れ替わりに来た准将の幕僚にそのままスライドした。一応俺の残務処理も手伝ってくれるが、事実上の首席幕僚扱いとなり俺がケリムを離れた後で、大佐に昇進したとのこと。

 オブラック中佐は事件発覚後、一ヶ月も経たずに第五四補給基地参事官として司令部を離れた。同盟には八四ヶ所の補給基地があるが、そのなかでもこの基地は事実上の無人星域(民間経済活動が皆無)で辺境警備の独立戦隊と補給船以外は滅多に訪れないシャンダルーア星域内にある。降格はしなかったが、事実上の左遷に等しい。

 エジリ大佐の裁判は始まった。証拠の少なさから最初は起訴すらできるかどうかと言ったところだったが、第一艦隊と憲兵隊、国家警察の共同捜査で、次々と『ブラックバート』関係者が拘束されていくにつれ、今度は自分が主犯であると逆に主張し始めた。主犯がロバート=バーソンズだと分かっている検察側と、政府と戦って名を上げたい弁護側との駆け引きが続いている。ちなみに軍法会議の方は既に第1級通謀罪が確定している。なおその線から『ブラックバート』の海賊船は三〇隻近くいたことが判明し、グレゴリー叔父がその大半を撃沈ないし捕縛したものの、肝心のロバート=バーソンズは網にはかからず、未だ逃亡を続けている。

 ドールトン准尉はオブラック中佐の左遷にショックを受けていたようだが、四月に第三幹部候補生養成学校から推薦入学許可書が届いたことで、学校のあるジャムシード星域へと移っていった。推薦書を出したのはリンチと俺だ。後で非協力的になったとはいえ、最初は戦艦の航法予備士官業務をこ
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