第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
暁
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そう言って立ち上がったのは我愛羅だった。薄い青の瞳に狂気染みたものが宿っている。
「あの女は、俺が必ず殺してやる。壁の耳も障子の目も、俺が潰してやる――」
瓢箪から溢れた砂は、慈しむように我愛羅に触れた。
+
「……どうした、鬼鮫? やけに顔色が悪いな……いや、元々か?」
「……どこいってたんですか、イタチさん……赤いシャツ着た怪物に、とって食われるかと思いましたよ……探したんですからね……」
「……すまないな」
サスケの居場所を捜索していたのだが、自分がいない間鬼鮫は相当な目に合っていたらしい。鈴のついた笠を取り、暁のコートを下ろし、イタチは壁にもたれた。ふう、と長い息を吐く。サスケはどうやら、はたけカカシと共に修行をしているらしい。前会ったときよりも随分大きくなっていたサスケに話しかけたい衝動にかられたが、イタチにそれは許されていなかった。それが代償、そして一族をかけた自分への罰。
「どうやら私のことを二足歩行の鮫だと本気で思い込んでいたようでして……」
「……違うのか?」
「え?」
表情のよめないイタチの瞳を数秒見返していた鬼鮫は、とうとう自分の味方は鮫肌だけと知り、ああ、と泣き笑いをしながら鮫肌の手入れを始めた。
「もちろん違いますよ……妖の遺伝子が人よりちょっと多いだけなのに……」
「そうか。悪かったな」
言うと、鬼鮫ははは、と眉を下げて笑った。ふとその笑いが止まり、魚のような瞳が隣の部屋を向く。すっと鮫肌を構え直した彼に、イタチもまた視線を隣の部屋へと寄せた。耳を欹てる。砂の流れる音と共に、少年の声が聞こえた。
「あの女は、俺が必ず殺してやる。壁の耳も障子の目も、俺が潰してやる――」
微かだが、はっきりと聞こえた。物騒ですねえ、とため息をつきながら鬼鮫は鮫肌を放し、イタチも緊張状態を解く。そしてイタチは天井を見上げて一言呟いた。
「それをお前が言うのか、鬼鮫?」
「……そうですねえ。これは恐らく、角都さんが飛段さんを殺すぞと脅しているのと同じようなものなのでしょうね」
暁。
S級犯罪者たちを集めた組織に所属している二人は、ゆったりと宿の中でくつろぎ、暫しの安穏に浸った。
+
「サクラさん、いのさん、それにはじめくん。三人とも、サスケくん達のお見舞いですか?」
「そういうリーさんも?」
大蛇丸が風車に息を吹きかけ、我愛羅がユナト殺害を宣言し、暁の男たち二人が宿で短い安穏に浸っていたその翌日。いのの実家である花屋から買ってきた花を持ったサクラといの、そして赤いリボンの巻きつけられた可愛らしいバスケットに花を入れたはじめに、はい、とリーははにかんだように微笑する。
「サスケくんと、マナさんのね。一緒に行き
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ