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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。

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ものだ。ジャシンからはもう既に二代目と初代の体の一部分をもらい、穢土転生の用意も既に整っている。この計画を止めるつもりはなかった――まあ、ひょっとしたら計画の進行が早めになるかもしれないが、それは問題にならない。
 パステルカラーの風車がひっそりと机の一角に転がっている。アジトは地下にある為、それを回す風はない。その上に積もった埃を払い、大蛇丸は幼い頃母の作った風車にそうっと息を吹きかけた。 

「今度こそ、私が。木ノ葉の風車を回したい――」
 
 パステルカラーの風車が、くるり、くるり、と回転した。
 その後の木ノ葉の運命のように。くるり、くるりと。

 +

「どうするんだ、先生? あのことが木ノ葉にバレているなんて――」
「落ち着け、テマリ。……彼女があのことを伝えに着てから既に一日、けれど木ノ葉は動いていない。恐らく他に目的があるか何かだろうかとは思うが……だが、風影さまはそれでもこの計画は実行するとおっしゃった。音の長もそう言ったと、薬師カブトとかいう男が伝えにきたしな」

 風影の命令は絶対だ。テマリは唇をかみ締め、黙って傀儡の手入れをすることで心の動揺を押し隠そうとしているらしいカンクロウを見遣った。我愛羅は相変わらずの無表情で、特にこのことを気にしているようではない。彼が気になっているのは強い敵と戦えるか、戦えないかのどちらかでしかないということくらいは簡単に想像がつく。

「でも木ノ葉はどうやって……? 音に裏切り者がいるんじゃ?」
「いや。どうやらあの女は特殊な血継限界の一種を持っているという話だ」

 バキが苦々しげに言う。テマリは青ざめた顔で押し黙り、膝を抱えた。カンクロウがチャクラ糸で烏を操る。がちゃがちゃと音を立てる烏に、「うるさい」とテマリは不平を申し立てようとしたが、それより前にカンクロウが口を開いた。

「そういうのしゃべるの、もうやめるじゃん……」

 弟には珍しく気弱な声に、テマリは軽く目を瞠った。青ざめた顔の彼がぽつり、とこぼす。

「あの女が来てから……なんだか、いつも見られてて、聞き耳立てられてるような気がするじゃん……」

 ――あの女……テマリも相当動揺しているし、カンクロウも気弱になっている……そして、俺も必要以上に焦っている
 壁に耳あり、障子に目あり。木ノ葉崩しの情報がいつの間にか他人に漏れていたという事実に言葉を失っていたバキ達に、にっこりと屈託ない笑顔で言い放たれたその一言。カンクロウが上手く寝付けなくなり、テマリがしばしば夜中に起き上がって部屋をうろうろしだしたりしていることに、そしてバキ自身も、自分が未明の内から起きてしまうことに気づいていた。我愛羅を除き、彼らはみなが皆落ち着きを無くしているのである。

「心配するな、カンクロウ」


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