”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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力が、少年の手元一点に集中する。溢れんばかりの黄金の輝きが、灼けた空間を照らしだした。
「――――っ!?」
その驚愕は誰の物か。そんな事すら些細のものに感じさせる、アラストールに決して引けを取らない王の威光。
アラストールが空間を灼きつくす者とするなら、その剣は空間を切り拓く物と言えた。
半実体化していた少年の幻想、黄金の刀剣が常世に具現化する。
――その名は、勝利すべき黄金の剣。
王を選定する岩に刺さりし、騎士王と共に数多の戦を戦い抜いた黄金の剣。
少年の持つ最強クラスのイメージ。騎士王の持ちしもう一振りの聖剣、約束された勝利の剣と比べればいくらか威力が落ちるとはいえ、聖剣のカテゴリーの中でこれほど強力な物はそうはない。
拳を向けるアラストールが躊躇いを見せる。
聖剣の威力は、見るまでもなく明らかであった。だが、彼とて天罰神と呼ばれし紅世の王。一瞬の躊躇いを打ち消し、己が使命のために腕を振るう。
「うおぉぉぉぉ――――っ!!!!」
アラストールの拳を少年は真正面から迎撃する。
―――――灼熱の焔と黄金の聖剣、その衝突は、まさしく空間が轟く程の物だった。
◇
全てが終わった後の空間は、奇妙な程の静寂だった。
王と王の剣の衝突の余波の性か、そこには全てが吹き飛んだビルの屋上に立つ三人の人影しか存在しなかった。
「――――その様な剣が、此の世にあるとはな」
遠雷の如く、しかしとても落ち着いた声が響く。
天罰神アラストールの姿は既になく、少女の胸のペンダントが少年に問う。
「これは勝利すべき黄金の剣、王を選定する岩に刺さりし剣。俺が幻想した騎士王の剣だ」
輝きを失い、ゆっくりと消え行く剣を見つめながら少年は応える。
「お前の幻想……か。この天壌の劫火の一撃を真正面から斬り捨てた物を、ただの幻想というか」
「あぁ、もう何処にも存在しない。ただの幻そ―――っ!?」
先程までとは比べ物にならない程の血を吐きながら、少年は崩れ落ちる。
「ちょっと―――っ!!」
少女は少年に駆け寄る。あれほどボロボロだった少女の身体は、いくらか治癒され歩行機能を取り戻している。
崩れ落ちた少年の身体を仰向けにしてやり、少女は容体を確認する。
それに比べ、少年の身体はこの上ない程に傷付いていた。
打撲、骨折、裂傷、重度の火傷と無事な箇所は身体に一つもない。先程まで、立っていたことすら奇跡的な程の、殆ど危篤状態な身体状況だった。
「よ―――ぉ。シャナ――――、案外と、元気――、そうだな――」
そんな事は関係ないのか、それとも気付くことも出来ないのか、少年はゆっくりと少女に語り掛ける。
「そっちよりは元気みたいね。待ってなさい、存在の力を補給すれば少しは回復
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