”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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ストールの一撃。圧倒的な質量、熱量。まさに断罪の一撃と形容するに相応しい。
罪の報い、アラストールはそう言った。自らの死を持って罪を償えという事だ。
罪を犯せば、罰を持って償う。人間として当たり前の事だろう。その方法が自らの死しかないのであれば……、つまり死刑とはそういう理由を持って行われて然りたのだ。
――――だが、そんな贖罪を少年は認めることは出来なかった。
「そんな贖罪、俺は認めない」
今度は体の痛みは消えなかった。少年は自らの意思で立ち上がる。
満身創痍、身体は悲鳴を上げるが少年はなお身体を動かす。
全身の痛みが、逆に思考を冷静にさせていた。アラストールへの恐怖も、痛みによって幾分和らいでいる。
ゆっくりとした足取り、それ以上の速度は出せない。だが、アラストールの拳はそれよりも遥かに遅い。
ビルに膝を付けアラストールの拳を見据えていたフリアグネの正面に、少年は立ち尽くす。
フリアグネの盾となるように。
少年を巻き込まぬ為のアラストールの配慮か、それとも罪を思い返させる為の時間を与える為か、断罪の一撃はゆっくりと迫って来ていた。
「衛宮士郎、動くなと言ったはずだ。よもや貴様、その哀れな王を庇い建てするとは言わんだろうな」
アラストールが拳を止め、士郎に警告する。当然の事だ。今まで共通の敵として戦ってきた者が、突如として敵を庇おうとしているのだから。
「そういう事になるな、アラストール。言っておくが、別に操られてる訳じゃない。俺は、俺の意志でここに立ってる。俺はコイツをアンタに殺させない」
士郎はその警告に真っ向から立ち向かう。そのあまりに異様な光景に、フリアグネは呆然としているだけだった
「何を言い出す、衛宮士郎。その者の罪はもはや死でしか贖うことは出来ないのだぞ?」
「そんな事は知らない。俺は全てを救う正義の味方になるんだ。善人だろうが悪人だろうが、俺が生きてる限り、目の前で人を簡単に殺させない」
アラストールの問いに士郎は頭を振る。
何を言い出すのか、アラストールほ一瞬、困惑を見せる。
だが、少年のその様を見て、アラストールは覚悟を感じ取った。
狂ったのでもなく、確固たる信念の元、少年はその場に立つ。
「良かろう。貴様には好感を得ていたが、そやつを庇い建てするならば容赦はせん。貴様の覚悟を見せてみろ」
もはや加減の必要もないと思ったのか、再び動き出した拳のスピードは、先程よりも格段に速さを増していた。
「何を……しているんだ、衛宮士郎 。マリアンヌの居ないこの世界に生きる意味なんかないというのに―――っ!」
呆然としていたフリアグネが士郎に問う。士郎は振り返りフリアグネを見るが、その問いには答えなかった。
「――――投影、開始」
正面を向き、迫る拳を見
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