”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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……」
最初に口を開いたのはフリアグネだった。しかし、その声には恐怖と畏怖、まさしく神に対する恐怖が混ざっている。
「"狩人"フリアグネ、愚かなる者よ。その宝具、我が封印を解くことでこの娘を殺すものであった様だな。ふっ、そうと分かっておれば、あの瞬間、無理に避けるまでもなかったものだ」
周囲を威圧するその威厳で、士郎も忘れてしまっていたが、その言葉を聞いて、あの畏怖すべき存在を世界の意思でなく、アラストールだと再認識させていた。
――そう言えばフレイムヘイズ殺しだとは伝えたけど、カラクリは説明する暇がなかったっけな。
あの口ぶり、どうやら嬉しい誤算もあったという事なのだろう。
「シャナは――、生きてるのか」
崩れるように少年は倒れかける。
少々の安堵が生まれたからか、少年を痛みが急に襲い出した。
「この娘はな、我が存在を全て受け止めることの出来る存在なのだ。まだこの娘自身が制御出来ぬであろうが為、我が存在は封印しているが、その様な宝具が故に己が力で身を滅ぼす様な者ではない」
言葉で形容し難い姿をしたアラストールが、体の調子を確かめる様に腕を天に掲げ、手を握っては開いてを繰り返す。
「流石は――、炎髪灼眼の討ち手……という事か。この僕に最初から勝ち目などなかったという事だ」
アラストールを見上げたまま膝を地につけるフリアグネ。乾いた笑いをもらしながら体を震えさせている。
「"狩人"フリアグネ。私欲の為に数多の命を奪い、世界の歪みを作った貴様の罪、その報いを受けるがいい」
アラストールは腕を振りかぶる。単純に腕で殴り飛ばそうとしているだけと分かってはいても、そのスケールの大きさが原初の恐怖を覚えさせる。
それはまさに神に一撃、断罪の拳。
「そこを動くな衛宮士郎。我とて加減を効かせられる保証は出来んからな」
そう言いながら、振りかぶった腕を微妙に動かすアラストール。
彼の言う通り、加減をする事が難しいのであろう。それは。自身の腕を何処まで細かくコントロール出来るかの確認であった。
だが振りかぶられる腕を見てなお、フリアグネは乾いた笑いを続けていた。
しかし、それは生を諦め観念した笑いでも、発狂した訳でもない事を少年は直感で感じた。
「ふふふ、あのおチビちゃんはこの上ない敵だったよマリアンヌ。あと少しで君と永遠に生きる事が出来たかもしれなかったけど、あの敵を相手にここまで戦ったんだ。許して欲しい」
辞世の句とでも言うのだろうか。それはシンプルな謝罪だった。
私欲の為に人間を喰い散らかし、世界を歪ませた紅世の王フリアグネ。
だが、その最後の戦いはただ私欲の為の戦いと言えたのだろうか。
少年の心にそんな疑問が生まれる。
だが、そんな少年の感情を知る訳もなく、ゆっくりと迫るアラ
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