”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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いな」
「――――ッ!?」
動かない身体を無理に動かそうとする少女。しかし、もともと動かないモノはどんなに無理をしても動かなかった。
「マリアンヌへのせめてもの手向けだ。無論、僕は逃げるつもりはないよ。君の名誉に泥を塗るつもりはないしね。"狩人"フリアグネが炎髪灼眼の討ち手に敗れた、という結果は変わらない」
―――こいつ自分ごと!?
驚愕に眼を開くが、少女にはもはや成す術もなかった。
「さようなら、フレイムヘイズ。もし来世が有るのならば、彼共々、敵でなかったら良いね」
乾いた爆発音がビルに木霊した。
◇
「生き、てる……のか。俺……」
爆炎に包まれた世界で少年は目覚める。煙と炎。焼けた匂い。その景色は少年の原初の記憶、全てを焼き尽くした災害を連想させるものだった。
見ていて気持ちの良い物ではないのだが、彼の周辺一体がそうである為、目の逸らしようがない。
「そうだ――シャナは……?」
体を起こし周囲を身渡す。爆発を浴びせられて、今どこを向いているのかも分からない。
自分も火傷に骨折と満身創痍であるが、痛みを奥歯を噛み締めて堪え、あくまで少女の身を案じる異常性こそが、少年が衛宮士郎たる所以であると言える。
――さようなら、フレイムヘイズ…………。
その声に気付いた時には全てが遅かった。
半身を起こすだけで精一杯な少女と、拳銃を向ける男。その光景が何を意味するのかは言うまでもない。
乾いた爆発音が響く。
少女が遥か後方、ビルの端まで吹き飛ぶ。だが、撃たれたわけではない。足裏を爆破させての突撃。すなわち少女が得意とする瞬間的な加速方法。それを少女は体を支えていた腕、その手元で使ったのだ。
両腕を犠牲にした脱出、まさに最終手段であった。だが、それで終わるような男ではフリアグネは断じてなかった。
「逃がさないよ――」
フリアグネは宙を飛ぶシャナを目掛けて拳銃を撃つ。
それは実に冷静な判断だった。目の前で突然起こった爆発に同様をしていては、気付くことはなかっただろう。戦闘機動としての爆発ではなく、脱出の為の緊急加速。それも体を半身起こしているだけという、爆発に備えていない体制だった事をフリアグネは見逃さなかった。
普段の矢のような突進とは違い、ただ吹き飛ばされるだけの少女の体は、空中で完全に無防備となっていたのだ。
一度飛んでしまうと、足や手を掛ける場所がない限り姿勢を制御する事は出来ない。地に足を付けていれば咄嗟の行動が取れるが、空中ではそれが出来ない。
更には満身創痍の身体が空中で身体を捻り込むなどの回避を許す訳もなく、少女はフリアグネの放った銃弾を受けてビルの外に落ちていった。
「シャ…………ナ?」
先程までの身体の痛みも忘れ
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