”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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主はこの世から消えたという事になる。
それも、零時迷子がある種の永久機関という事は、トーチの様に自然消滅をする訳もない。持ち主の消滅はすなわち誰かに殺害された事を意味していた。
かつての聖杯戦争の時と同様、誰かの助けで命を長らえる事が出来ている現状は、少年にとって両手放しで喜べる状況ではない。
「そういう事になる……か」
「それはそれ、これはこれよ。今は自分が消えないという事実を、素直に喜んでも良いんじゃないかしら?」
少し沈み込む士郎に少女は言う。
「そう……だな。沈んでばかりもいられないか」
ははっ、と空笑いをしてみせる。無論、心からは笑えない。だが、らしくなくも少女が励ましてくれたからには、それに応えたかった。
「損というか、息の詰まるような生き方をするんだね、君は」
そんな士郎の様子を見て、フリアグネは言う 。
「そうなのかもしれないな」
それに、士郎は短く答える。何度となく言われた、歪と形容される生き方だが、それを悪い物と思うわけでもないが故の、淡々とした返事だった。
そんな君の生き方を、僕も見習わないといけないのかもしれないね、とフリアグネは会話か独り言なのか、曖昧な言葉を漏らす。
「さて、これ以上ここに居ても、その宝具を狙ってるって思われるだけだ。僕はそろそろ行く事にするよ」
フリアグネは踵を返して、ビルの外に向く。
「行くって、何処にだ。フリアグネ」
士郎はその背中に問いかける。
「さっきも行った通り、しばらくはこの街にいるさ。"屍拾い"の生き方を見習う事にするよ。存在するだけで力を消費するこの身体だけど、ね」
そう言って、フリアグネは虚空へと飛び去って行った。その姿を見えなくなるまで見続けた後、少年はアラストールに問う。
「アラストール、"屍拾い"ってのはなんだ?」
「世界のバランスを考え、略奪を良しとしない紅世の徒だ。いつか貴様と会う日が来るかもしれんな」
変わり者の徒も居るものだ、と士郎は思うったが、それ以上の詮索はしないことにした。
「それじゃ、そろそろ帰るわよ士郎」
「あぁ、そうだな――――って。えぇっ!?」
思わず、素っ頓狂な声を上げる士郎。
「何よ。問題でもあったの?」
「問題って程の事じゃないけどさ。名前、そういや自己紹介もしてなかったし、今まで『お前』とか『これ』って呼んでたのに、いきなり名前で呼ばれたからさ」
びっくりしたんだ、と士郎は続ける。
「そうだった? 覚えてないわ」
その程度の事で、と言わんばかりに少女は言う。
「そうだったんだよ。それじゃあ、改めて」
シャナの方を向き、士郎は手を差し出す。
「衛宮士郎だ。よろしくな、シャナ」
「ふん、何が変わるって事もないけど」
顔を突っぱねながらも差し出された手を取り、少女は少
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