”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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る鐘が遠く鳴り響いた。
瞬間、少年の身体に変化が起こる。
時間を巻き戻すかの様に、身体が再生する。鐘の音が聞こえなくなった頃には外傷は全て完治していた。
いや、巻き戻されたと形容する方が適切なのではないかと少年は思った。
「なんだ、これ…………」
痛みも消え、少年は体を起こす。魔力こそ回復はしていないが、身体状況は完全に元通りと言って良かった。
「シャナ、――何かしたのか?」
何が起こったのか分からず、少年は質問した。
「…………私は何もしてない。アンタが勝手に直ったのよ」
少々、安堵した様子で少女は言う。
「勝手にってそんな都合の良いことはないだろ。フリアグネ、お前は何か分かるか?」
少年としては異常な事態の為、とにかく早く誰かに理由を説明して欲しかった。
「まさか――――、ね。けど、そうとしか考えられない」
驚愕を隠せない様子で、フリアグネは少年を見ていた。
「それは、お前の中にある宝具の効果。"零時迷子"の能力よ」
「零時――――、迷子?」
ミステスの自覚が特にない少年としては、内に宿りし宝具は、自分自身、すなわち"衛宮士郎"という、この世界にとってよそ者の存在たる自分を固定する為の物としか認識していなかった。
「…………その宝具を埋め込んだ者は、時の迷子とも言える存在になる。どれ程、存在の力を減らそうと、毎晩零時に一定量まで取り戻す事が出来る」
呆然としながら宝具の効果を述べるフリアグネ。"狩人"という二つ名を持っていた事は伊達では内容で、ご明察、と少女はそれに答える。
「つまり、永久機関って事か。それもかなり物騒な」
自分の身体、いやその深遠に燃える灯を眺めながら少年は漏らす。
「その通りね、存在を喰らう必要がなくなるとも考えられるし、消耗を気にせず力を振るう事が出来るとも言えるわ」
「良いも悪いもリモコン――、いや使い手次第ってことか」
存在を喰らわなければ世界に歪みは与えないが、逆を言えば喰らわずとも存在の力を補給出来るのならば、危険極まりない宝具といえる。
「僕達、乱獲者にとっては秘宝中の秘宝。フレイムヘイズにとっては決して渡せぬ無用の長物って事さ」
もうその気はないとアピールをする為か両腕を挙げるフリアグネ、そしてその様を警戒の意を込めて睨みつける少女。
「しかし、この事実が意味する事はそういう事しかあるまいな」
少々、思う所があるのかの如く漏らすアラストール。
「どうかしたのか、アラストール」
「いや、その宝具の元々の持ち主はかなり前に消息を絶っていたのでな。その者達に異変が有ったのだろうと思ってな」
なんともなしに思った質問をしてから、少年は気付く。
宝具が突然湧いて出るなんて事は有り得ず、自分、いや"坂井悠二"に転移してきたという事は前の持ち
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