”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
[12/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
自身も生きる意味なんか無いとも思う。けど――――」
フリアグネは少年から虚空に目を移す。この世からいなくなったマリアンヌを思っていたのか、それとも自分のこれからを考えたのか、それは少女には測りえぬことだった。
「僕は衛宮士郎に救われた。僕が望んでか、そうではないのかは関係なく、その事実に変わりはない。だから、僕は君に救われた意味を探さなくてはならないんだと思っている」
体中から生えていた剣もいつしか消え、少女に拙くはあるが治療を始められた少年を見て、フリアグネは言う 。
「信じ――るさ。そうし――、なきゃ、誰――も前に、進め――ない。お前――も、シャナも、そして――俺も――、な」
フリアグネだけでなく、少女にも言って聞かせるように少年は言う。
そうだ、と少年は何かを思い出したように少女に語り掛ける。
「俺が、生き残ったら――――頼み――を
、聞くって――約束、してた――だろ? 良かっ――たら、聞いて――くれ、ないか?」
こんな時に何を悠長な事言ってるのよ、と少女は言い返しそうになる。だが、黙って聞くことにした。このままでは、少年は明日を迎える事が出来ない。
死なせない為にも、どんな方法でも意思をつなぎ留めて置かなければならないのだ。
「名前……。君の名前は、――贄殿遮那でも、なけ――れば炎髪灼眼の討ち手、でもな――――い。それは、――得物と通り名、――だろ? もし、良かったら――シャナ、って名前、使って――くれ、ないか?」
少女は目を見開く。そんな事のために少年は消えようとしている命の灯火を燃やしているのだ。名も無き自分に名前を付ける事を、ささやかな願いとして戦っていたのだ。
「そんな事のために――。バカよ……、お前」
ははっ、と少年は再び力なく笑う。
「かも――、な。でも、俺――は、名前がないって――事は、悲しい――事だと思うんだ」
遠い日、名前も家族も全てを失った事を思い出す。
失ったものは余りにも大きく。そして与えられたものも大きかった。
名前も無く、ただ独り世界のバランスを取る為に戦う。そんな何も与えられない守護者のような存在を、少年は認めたくなかったが故に、何かを渡したかった。
「別に名前なんて使う事もないわよ―――。でも、仕方がないわね。貰ってあげるわよ、その名前」
良いからもう黙ってなさい、傷に触るわよ。と少女は少年を黙らせようとする。
「もう、良いよ――シャナ。言いたい事―――も、言った――し。どうせ、――俺の中――の、宝具に――、くっ付いて、――何処か、に――、行く、だ――けだしな」
治療を止めるように少年は少女に言う。
「何に馬鹿な事言ってるのよ! もう少し、もう少しだけ頑張りなさい!」
もう少し頑張って何か有るのか? 少年がそう言おうとした所で、午前零時を知らせ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ