”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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――それとも、何か理由があるのか? 例えば、街中にベルの音を響かせたい、とか。この屋上には、なぜか封絶も張られていないしな。
やけに遠く聞こえるその声で少女は目を覚ました。
身体はまだ動く。咄嗟に離脱したとはいえ、あの爆発の中よく五体満足で済んだものだ。
無意識の内に立ち上がっていた辺りが、贄殿遮那のフレイムヘイズたる彼女らしい。
…………あの人形の狙いはこれだったのね。お陰で贄殿遮那がどっかに行っちゃったじゃない。
少女は己の失態に小さく舌をうつ。贄殿遮那の回収もしたいが、今はフリアグネを倒すことが先決だ。
己の失態は己で取り返す。そして必ず次に繋げなければならない。それが少女を育てた者の教えだ。
――封絶だ、音を止めろ!
また声が響く。だが、それは先程とは違い少女に向けられたものであった。
続けて鐘の音が鳴り、顔を上げると目の前に白い短剣が飛んできている。
半ば反射的に短剣を引っ掴む少女。それが共に戦う少年の物とは、目の前に飛び込んで来た時点で気付いていた。
同時に正面で爆発。少女が受けた人形の大爆発とは違い、小規模の爆発が同時に起こったもの。
フリアグネがマネキンを爆破したのだろう。残骸までもが爆発するとは予想外のことではあったがハンドベルの音も、かすかに聞いたような気がする。
「――――うそ」
フリアグネの背の先に居たであろう少年の姿は爆炎に包まれ確認出来ない。
あの爆発、おそらくは無事では済むまい。得体の知れない戦闘技術を有しているとはいえ、少年の身体がただのミステスである事は少女もよく知っている。
無事でいて欲しいと思うが、同時に希望的観測は無駄だとも頭では判断していた。
それにしても厄介なベルだ、残骸をも爆破出来るとは。マネキンの数から見て相当量の残骸が築かれていただろう。
何が賭けだ。挑んだ方が死んでは元も子もあるまい。
賭けは相手がいなければ成立しないのだ。これでは賭けに勝ったところで、何の意味もない。
爆発で煙にまみれた屋上にリィン、とベルの音が響く。
その音で少女は我に返る。まだ、戦闘は終わってはいないのだ。感傷に浸っていては少年に申し訳が立たない。
灼眼の相貌は、いまだ光を失なってはいなかった。
視線の先には短剣を頬にかすめ、切り口からチロチロと飛ぶ火の粉を手袋で拭うフリアグネ。
「残念だが外れたね、衛宮士郎くん。残された最後のチャンス、君の最後の攻撃は不発に終わったわけだ」
実際のところ、フリアグネは攻撃に対して反応出来なかった。避けなかったのではなく避けられなかったのだが、短剣が外れた以上、過程はどうであれ結果は変わらない。
「ああ、でも君のことは忘れないだろう。仕掛けのトリックに気付かれるとは思いもしなかったのだから」
――不発ではな
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