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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth15エリーゼの涙・アムルは燃え朽ちて〜No mercY〜
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途切れる。アンナの艶やかな唇に重ねられたテウタの柔らかい唇。テウタはアンナに口づけをしたのだ。
止まっていた思考が再起動したアンナは「いやっ!」ドンとテウタを突き飛ばし、数歩後ずさって、袖口で口を何度も拭った。次第にアンナの目の端から涙がボロボロ零れ始める。

「あら? 魔力供給が起きないのね。やはり能力者からではないと発動しないのかしら・・・?」

テウタはペロリと自分の唇を舐め、「もしかして初めて? 私も初めてなの」とはじらうようにアンナを見詰める。アンナの瞳に怒りが満ちる。「ふざけるな・・・!」と詰め寄ろうとしてがすぐに思い留まった。感情に任せて暴れれば、テウタを暗殺する機会を失うかもしれないと判断したからだ。しかし、「娘。本当にエリーゼ卿か?」グレゴールが訝しみ始め、アンナは血の気を失った。

「そ、そうですよ・・・!」

か弱さを見せるかのように演じて見せるアンナだったが、グレゴールの疑問に満ちた視線は外れない。

「どうかしたのですか? グレゴール」

「いえ。先程の殺気、エリーゼ卿の側近である娘・・名はアンナだったでしょうか。あの娘と同じもののように思えましたので」

(鋭い・・・! さすがイリュリア最強の騎士・・・)

冷や汗が止まらないアンナ。しばらくグレゴールの視線を受けていたが、「グレゴール。女性をマジマジと見るのは礼に欠けるのではなくて?」とテウタに言われ、「仰るとおりです」グレゴールはようやく引き下がった。
心底安堵したアンナにさらに喜ばしい事が。テウタが「彼女と2人で話がしたいの。あなた達が下がりなさい」グレゴール達に命令を下す。普通、騎士ならば女王から護衛を外すような真似はしない。が、「了解しました」グレゴール達はあっさり了承して去って行った。

(それほどまでにテウタの実力を信頼しているというわけか・・・でも、私は!)

2人きりになり、アンナは一気に気を周囲に巡らせ始める。グレゴールがこの場に居れば、まず間違いなく反応するだろう。しかしテウタは「そう身構えなくても取って食べようとは思いませんから」気にする素振りすら見せず、ついにはアンナに背を向けた。

(今こそ好機!)

テウタを暗殺するために、アンナは・・・・・・・

「はぁぁぁぁああああああああああああッッ!!!!」




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