暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth15エリーゼの涙・アムルは燃え朽ちて〜No mercY〜
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ち全住民は、イリュリアの侵略行為に屈し、イリュリアから逃げるように避難した。わたしは・・・親友のアンナを失って、屋敷を失って、果てにはアムルの街全部を失った。

?―?―?―?―?―?

イリュリア王都スコドラに在る王城の大庭園。池の畔に、イリュリア女王テウタがロッキングチェアに揺られながら恋愛小説を読み耽っていた。彼女は待っていた。イリュリア騎士団総長グレゴールに下した命令を、彼が果たし、成功報告をしに来るのを。
小説を半分ほど読み終え、「運命の赤い糸、ね〜」と自分の小指をしげしげと眺め始めた。それから自分が恋愛をしている妄想をし、「ないわね」ガックリ肩を落とす。とそこに、「テウタ陛下」と呼ぶ声が。テウタは小説に栞を挟み閉じ、「待っていましたよ、グレゴール」と姿を現したグレゴールを迎え入れた。

「ただいま戻りました」

「ええ、御苦労さま。では早速、任務報告を聞かせてください」

「はっ。陛下より承った任務、エリーゼ・フォン・シュテルンベルクの連行、無事に完遂いたしました」

甲冑に身を包んだ2人の騎士に挟まれるように連れて来られたのは、エリーゼの姿に変身しているアンナだった。エリーゼの姿を見たテウタは「私は前にしてその気迫に満ちた瞳。素晴らしいわ」と満足そうに微笑んだ。

「魔神オーディンの扱う強大な魔導に必要な魔力を補充する事が出来る、唯一の人間。エリーゼ・フォン・シュテルンベルク男爵。シュテルンベルク家の女性のみに受け継がれる能力・クス・デア・ヒルフェ。
効果は口付けした対象の魔力を一瞬にして回復させるというもの、でしたね。そのあなたが居なれば、魔神はそう安易に強大な魔導を使えなくなるはず。それに、人質としても使える。あなたを盾にすれば、人外の強さを持つ彼も反撃に抵抗する」

別人であるアンナが変身しているとは露とも思っていないテウタは無防備に歩み寄っていく。そしてアンナはと言うと、

(武装もしていない。完全に油断してる。今がきっと好機・・・!)

内心でほくそ笑んでいた。暗殺が成功すれば奇跡。その後にグレゴールや側に居る騎士たちに殺されようとも笑って死ねる。失敗して殺されても問題ない。オーディン達の邪魔になるくらいなら喜んで死ぬ。そう強く思い込んでいた。しかし、

(エリーゼ達には本当に申し訳ないわね・・・ごめんね)

アンナの脳裏に次々と浮かんでくるエリーゼ達との思い出の数々。決死の覚悟が揺らぎそうになるが、彼女にとっての宝物であるエリーゼを護るために、彼女は死を選ぶ。

(でも1人で死んでなんかやらないわ。お前も一緒よ、テウタ!)

アンナは目の前にまで来たテウタを睨みつけるために、俯かせていた顔を上げた。その瞬間、アンナは目を限界にまで開け放った。突拍子もない事態に、思考が完全に
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