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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth15エリーゼの涙・アムルは燃え朽ちて〜No mercY〜
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シャマルさんのその言葉に、わたし達はハッとする。今はまだわたし達との思い出は消えてないけど、いつ消えちゃうか判らない。もっと後かもしれないし、次かもしれない。だから「マイスターっ、もう魔力を使っちゃダメっ」アギトが泣きだす。

「しかしそれでは――」

1隻の戦船が放った砲撃がアムルの端に着弾して、その振動がわたし達を襲った。しかもそれだけじゃない。戦船の様子がおかしい。徐々に高度を下げて行ってる。あのままじゃ墜落するのに。それなのに降下が止まらない。本当に墜落・・・まさか。

「おい、ちょっと待てよ。戦船が突っ込んできやがった!」

戦船が墜落して、アムル郊外の一画を押し潰した。その上砲門を開いて砲撃を放ち始めた。郊外が火の海になる。最初は頭が理解できなかった。でも事態を呑み込めた瞬間、

「いや・・やめて・・・やめて・・・やめてよ・・・もうやめてよぉぉぉーーーーッ!!」

泣き叫んだ。あそこには、初めて医者らしい事をして、初めて担当した患者さんだったオーディンさんと話した別宅があったのに。頭の中が真っ白になって、ただやめさせたいって思って駆け出そうとしたけど「エリーゼっ。街のみんなの避難を優先しよう!」ターニャがわたしの肩に手を置いてそう言ってきた。
避難? 何を言ってるのターニャ。避難なんかしたら、街がもっと壊されちゃうよ。壊されるより支配されちゃうかも。そうなったら好き勝手される。家族を喪って、屋敷を失って、最後はアムルの街そのものを失っちゃう。それだけは絶対にダメ。嫌だ。だから何か言い返そうって思うんだけど、声が出ない。頭は、心はもう理解してる。ここに居てももう何も出来ない。それほどまでに追い込まれてる。

「もう解ってるでしょ、エリーゼ。ディレクトア達も。状況は最悪すぎる。私だって悔しいよ。でも見て。今からあの戦船の侵略を食い止められる? ディレクトアはもう限界。シグナムさん達だってもうフラフラ。アンナは居ない。ここでまたグレゴールのような騎士が現れたら、間違いなく負ける」

ターニャの反論を許さないって目に、わたしもオーディンさん達も黙るしか出来なかった。

「・・・グラオベン・オルデンのみんなに、アムルの主としてお願いがあります。アムルの住民の避難を・・・ひぅ・・アムルからの退避を・・・ぅく・・・」

「「「「「「・・・ヤヴォール・・・」」」」」」

「・・・決断してくれて、ありがとう・・・エリーゼ」

オーディンさん達は了承してくれて、ターニャと一緒に散って行った。

「「・・・・エリーゼ」」

「悔しい・・・ひっく・・・悔しいよ・・・ぐす・・・わたし、何も出来なかった!!」

「「エリーゼ!」」

モニカとルファが抱きしめてくれた。
今日この日、アムルに住んでいたわたした
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