第9話〜ケインの受難〜
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前まで話をしていた人から通信が入るとは思わず、急用か何かかと考えた。
『ケインの声が聞きたかったから、ではいけませんか?』
彼女の思いもよらぬ返答に、ケインは内心で肩すかしを食らったが、それを悟られぬよう平生と同じ口調で再び話しかける。
『いけないことはありませんが・・・大尉。少し、お話したいことがあるんです』
『判りました』
ケインは先ほどまで自身が考えていたことを告げ、ほんの少しだけ談笑した後、通話は終了した。そしてこれまで長らく沈黙状態だったラウラが、列車内での第一声を発する。
「ケイン。そなたは、大尉殿とかなり仲が良いようだな?ルイセという少女とも、な」
「まぁ、そうだけど・・・それがどうかしたのか?」
「大したことではない。そなたと彼女らの関係について、洗い浚い吐いてもらおう」
「へぇ、って・・・・・・え?」
ケインの隣に座す青い髪のお嬢様は、旧校舎の調査後に始めて手合わせをした時とは比べものにならないくらいの迫力を纏っている。彼の方を向いたラウラは、清々しい笑顔をしており、全身から滲み出る気迫とは相反するその表情が、ケインに畏怖の念を抱かせた。
率直に思うのは、こいつはやべぇ、という本能的危機感だけである。
(ひいぃぃぃっ!)
(な、何て凄まじいオーラなの?)
(・・・ラウラ、君はいったい何者なんだ?)
他の3人が彼女の圧倒的迫力に気圧される中、ケインはかつて経験したことのない感情に飲み込まれそうになりながらも、決死の覚悟でラウラに言葉を紡いでいくのだった。
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