暁 〜小説投稿サイト〜
閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
第9話〜ケインの受難〜
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
激動の時代において、主体的に活動できる人材を生み出そうとしているのかな?」

「もう!これだと、ほとんど正解言われちゃったようなもんだわ」

「すみません・・・『未来を変えろよ。お前には、その力があるんだ』
 それが、俺が聞いた、父の最後の言葉ですから。
 意味を考え続けて、この時代の事なんだってようやく分かったんです」

「・・・そう。悪いこと言わせちゃったわね」

「平気です。話したのは、俺の意思ですよ」

いつ起きていたのか、ケインの考察に不満の声を上げるサラ教官だったが、思わぬことをケインから言われる。いたたまれなくなった教官は、ケインの頭を優しく撫でてから彼の耳元で一言だけ囁き、また寝始めてしまった。重くなった空気の中、少しの間考え込むそぶりをしていたリィンは、自分の身分について語り始める。みんなに不義理をしていたという思いがあったらしい。話題を変えようとしたのは、ケインの父の話にこれ以上触れないための彼なりの気遣いだろう。

「マキアスの問いにははぐらかす形で答えたけど、俺の身分は一応、貴族になる」

話によれば、帝国北部にある山岳地、ユミル。その地を治めるシュバルツァー男爵家が、リィンの実家であるそうだ。確か男爵位の貴族ながらも、昔から皇帝家との親交があることで有名だと記憶している。彼まで貴族だという真実に、驚きの声を漏らすエリオット。
そんなタマじゃないさと苦笑するリィンは、自身が養子であり、貴族の血は引いていない事を口にした。自分の道を見つけると言った理由は、家庭内の事情からか。そんな風に考えたところで、ケインは余計な詮索だと思考をかき消す。

「貴方も・・・色々事情があるみたいね?」

「はは、そんな大層な話じゃないけど・・・それでも、みんなには黙っていられなくなったんだ。これからも同じ時を過ごす、仲間として。何より、Z組のメンバーとして」

「・・・真面目だな、この上なく」

「あはは、ケインがそれを言っちゃうの?」

リィンの話を聞きながらも、ケインはそれとは別に、気がかりな事があった。
自然公園のヌシであったらしいヒヒ型の巨大魔獣は、どうしてあんなタイミングで現れたのか。その後に駆けつけた領邦軍がグルであるのはほぼ間違いないが、彼らの手腕によるものではないだろう。おそらく彼らと協力関係にある何らかの組織の仕業だ。それが一体何者であるのか。そこまで考えたところでケインのアークスから着信音が鳴り、開いて応答する。

『はい。こちらはトールズ士官学院1年Z組、ケイン・ロウハート』

『ふふ、ちゃんと繋がったみたいですね。良かった』

『って、クレア大尉?いきなり通信なんかされてどうしたんです?』

別れ際にアークスの連絡用ナンバーをクレアに訊かれていたケインは、数時間
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ