第9話〜ケインの受難〜
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とは結構だと思うが・・・」
「仲が良いのか、あれ」
アリサに一方的に謗られているケインを遠目に見たリィンは、ラウラの台詞に疑問を抱く。
意外なことに、2人の話し合い(?)は5分もしないうちに終了し、大市も一通りは回れたので、一同は宿に戻ることにした。駅前の広場に出ると、サラ教官に再び会う。
「お疲れ様でした、サラ教官」
「そっちもお疲れ様だったみたいね・・・ただ、ケイン。単独行動は関心しないわよ」
「え〜っと、何の事でしょうか?」
「とぼけても無駄よ。氷の乙女(アイスメイデン)さんから全部聞いたんだから」
「そう、ですか・・・すみません。ラウラを危険な目に遭わせたのは、俺の過失です」
「ケイン・・・」
俯き加減でそう謝ったケインの頭を、サラ教官はそっと撫でる。
「君も危険な目に遭っているじゃない。次からは班全員で決断して行動しなさい。
・・・軍人の基本は集団演習でしょう?」
「ですが!・・・ッ・・・分かり、ました。善処はしてみます」
「よろしい。さてと、特別実習も一通り片付いたんでしょう?あたしたちもお暇しましょうか」
言われてみれば、日が沈みかけている。もう帰るべき時間帯だ。
A班は一旦宿に戻り、二階にある各自荷物を整理してから女将のマゴットさんや、ルイセに挨拶をし、駅へ向かうことにした。が、ケインは背中に軽い衝撃を受け、立ち止まる。振り返ると、そこには彼にしがみつく様に寄り添うルイセの姿があった。
「ルイセ?どうしたんだよ?」
「ケインさんが、どこか遠くへ行ってしまいそうな気がして・・・ごめんなさい」
心なしかルイセの声や手が、震えているような気がした。そんな彼女の手を自身の片手でそっと包んだケインは、優しく語りかける。
「大丈夫。近いうちにまた遊びに来るよ。自炊用の食材、ここでも買いたいからな。
泊まることはできないけど、ここに立ち寄るぐらいはできるだろうからさ」
「・・・絶対ですよ。約束ですからね」
「ああ、約束するよ」
ケインの言葉を聞いて安心したのか、ルイセはケインから離れる。
改めて別れの挨拶を告げてから、ケインたちは駅に向かった。特に待つことなく到着した帰りの列車に乗り込み、適当な座席に5人で腰かける。通路を挟んだ反対の席では、サラ教官が眠っていたがサクッとスルーして、A班全員で他愛のない話を交わす。散々であったであろうB班のフォローをしてパルムから日帰りでこちらに返って来たサラ教官は、流石に疲れているのだろう。
「初めての特別実習・・・何を目的としているのか何となく分かってきた気がする」
「帝国内の実情を知らしめ、突発的に起きた問題を臨機応変に解決するための判断力と行動力の養成。つまり、きたるべき
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