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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第23話 初陣 その3
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軍内の警察組織だ。帝国のように地上戦部隊を使って一応は民間人である地球教徒を追っかけ回すような事は出来ない。民間人が犯人であれば、国家警察あるいは州警察が対処することになる。憲兵が民間人を脅した、となれば野党が政権に簡単に噛みついてくるだろう。

「情報を漏らした犯人は民間人だと、貴官はいうのか?」
「正確には星区司令部か第七一警備艦隊か、今回の海賊討伐作戦を事前に知り得た人間の側にいる民間人です」
「……だから直接行動は出来ない。相手の油断を誘うためにも、しばらく我々は間抜けを演じている必要がある。そういうことか」
「はい、リンチ閣下。その通りです」
 あくまで第七一警備艦隊がちゃんと防諜体制を整えていることが前提だが、とまでは俺はリンチにはいわなかった。もはやケリム星区のどの戦力にも疑念は生じている。第七一警備艦隊に限らず、他の巡視艦隊も、だ。こと政治的な判断すら必要な状況下であるならば、もはや頼るべき武力はただ一つしかない。

「第一艦隊をケリムに呼び寄せるべきです。だがそれまでに犯人の目星だけは、我々第七一警備艦隊でつけなくてはなりません。例え状況証拠だけであっても」
「ふん。結局父親を頼りにするワケか。なさけないな」
 斜め前に座るオブラックの厭味に俺は唇を噛み、拳を握って我慢したが、次の瞬間そのオブラックが衝撃と共に椅子から転げ落ちたのにはさすがに驚いた。
「いや、失礼」
 右拳を撫でながら、正面に座るエジリが笑顔で応えた。
「最近、めっきり歳をとったせいで右肩の調子が良くなくてな。おやオブラック中佐。大丈夫かね?」

 そういえばエジリは大佐だったよなと、俺はどうでもいいことをその時思い出していた。オブラックの発言が礼を失しているとはいっても鉄拳制裁はいかんと思うんだ……でも正直、俺は気分が良かったが。


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