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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第23話 初陣 その3
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厳しく難しいゼッフル粒子(やはり根拠地跡から検出された)を扱う奴らだ。かなりの頻度でこの星系と別の星系を行き来していたはず。安定した宙点を選択し、しかも根拠地のある小惑星帯に向かっている航跡を探り出し、その方向を確認する。だから航法知識があるドールトンの知識が必要となる。

 まずは海賊が使いそうな跳躍宙点を取捨選択、次にそこへ巡航艦を半分隊(五隻)派遣し、周辺の次元航跡を調査。そして海賊が使用したであろう航路の確認と、『別の根拠地』と考えられる星系の把握。それに巡航艦分隊の調査航路の設定。それがドールトンに俺が指示した仕事だ。巡航艦への命令は俺がリンチを通して行う。副官業務は交代要員がいないので、俺は仕事の合間を見てドールトンの分析結果を確認し、さらに巡航艦へ指令を出す。ちなみにドールトンは予備下士官なので、艦長にこの職務への専従を許可して貰った。

 ドールトンが宙点を選択し、巡航艦分隊の調査航路を作成するのに三時間。巡航艦へ指示し、四個半分隊がそれぞれに散って調査するのに二四時間。幾つかの分隊から興味を引く情報が届き、それをドールトンが分析し、次の調査航路を産出するのにまた三時間。巡航艦分隊は殆ど立ち止まることなく外縁部の宙点を調査し続け、ドールトンも四つの分隊の調査航路を同時に計画しながら、俺に状況を報告。俺も副官業務の合間を縫って計算と分析を行って……リンチの許可から四九時間後。俺とドールトンは自分達が出した結論を見て、結論が導く重大な問題に直面することになった。

「当艦隊がこのD星区に到着した約一八時間前に、根拠地近辺には複数の航跡が確認されました。その航跡はネプティス星系との跳躍宙点を起点としています。その三時間後。四隻程度の大型艦が根拠地を出航。アレスW星系との跳躍宙点へ向かい、そこで次元航跡は途絶えました。おそらくアレスW星系にパルスワープで向かったものと推測されます。以後、この星区での次元航跡は当艦隊と破壊された根拠地の破片以外、確認できません」
「……」
 リンチ、エジリ、オブラック、カーチェント、そして俺が集まる第七一警備艦隊司令部(戦艦ババディガン内小会議室)で俺が言った言葉に、沈黙した四人の顔はそれぞれだった。
「これから導き出される結論は……」
「言わんでもわかっとる。こちらの情報が事前に漏れていたな」
「そんな!!」
 リンチの歯ぎしりの含まれた結論に、情報参謀のカーチェントは顔を蒼白にして席から立ち上がる。

「この作戦に関しては、防衛司令部でも司令官ベレモン少将と防衛区参謀のパトラック大佐しかご存じないはずです。第七一警備艦隊でも……ここに派遣された部隊でも『スパルタニアンによる制空訓練』として集められており、作戦情報開示ですらネプティス星系を離れてからなのです!!」
「だが、現実にはネプテ
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