暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth14信念に集う新たな家族・氷結の融合騎士 〜EiliE〜
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いた。だったらミュールだけでも。

「フォルテっ、フォルティッシモっ、フォルティッシッシモっ♪ で・も、ジェンティーレも忘れずに〜〜♪」

音符の数が半端じゃない。弦一本弾くだけで数十個の音符が生み出されている。ミュールのギターは一般的な六弦。1回流すだけで70以上の音符が発生、私へと突撃してくる。連続で六弦を掻き鳴らすために、ほんの数秒で4ケタ近い音符が生まれる。厄介だな。

「わたし達エグリゴリは、お兄ちゃんを殺すために動いてるって事♪」

まぁ速度はさほど速くないため追いつかれる事は無いのが救いか。魔力弓を具現させ、魔力矢ウルを番える。

「でも、今日は残念。遊んでいられないの♪」

――弓神の狩猟(コード・ウル)――

使用できる魔力量最大のSSSクラス魔力で創ったウルを放つ。無数の光線となったウルは音符の群れへ突撃し、正確に貫いて爆砕。爆発が連鎖して、周囲の音符を巻き込んで数を次々と減らしていく。空に私のサファイアブルーとミュールのオレンジの魔力光の花が無数に咲き乱れる。
ミュールの「ご清聴あ〜りがとぉ〜〜〜〜ですっ♪」そんな声が聞こえ、魔力反応と共に気配が遠ざかっていく。やってしまった。軽率な真似をしてしまった。爆散している魔力光が邪魔で、ミュールの正確な位置が判らない。手を拱いている間にミュールは完全に離脱したようで、戦場のどこにもあの子の魔力反応は無い。

「・・・ズィーベン。ありがとう、おかげで何とかなったよ」

「『こちらこそありがとう。ゼフォンに壊されずに済んだ・・・』本当にありがとうです」

融合状態を解き、私の目の前に現れたズィーベンは疲労に満ちた顔で、それでも笑みを見せてそう礼を告げた。差し出した右の手の平の上にズィーベンを乗せ、降下して耳を押さえて苦悶の表情を浮かべているアギト達に「大丈夫か?」と尋ねる。
アギトは「なんとか」と、シグナムは「耳鳴りが酷いだけですね」と、ヴィータは「目が回って気持ち悪ぃ・・・」と、シュリエルは「私も問題はありません」と答えてくれたものの、みんなは結構な疲労を見せている。

「すぐに治癒を掛ける。少し待って――」

「だ、ダメだよマイスターっ」

「オーディンだって顔色最悪じゃねぇかよ」

「アギトとヴィータの言う通りです。オーディン。あなたももう限界なはずです」

アギトとヴィータとシグナムにそう言われ、「すまない」と謝ってその場に腰を降ろす。魔力を限界にまで使い果たした。正直2人分のラファエルを使った瞬間に記憶を失うだろうな。というかもう意識が途切れそうだが、かぶりを振ってギリギリ保たせる。少し休みを取り、回復したシグナム達が立ち上がったのを見て、私も続いて立ち上がる。よし。魔力はあまり回復していないが、体力気力だけは問題ないな。
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