第147話
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向かい合うのように立っている人物は麻生も良く知っている人物だった。
上条当麻。
彼はその女性を強く睨みながら、肩を上下に揺らしている。
息も荒い事からかなりの運動をした事が分かった。
(さて、どうする。)
一目見ただけで、何かしらの事情に巻き込まれている事は分かる。
少しだけ考えため息を吐いた。
(俺はあいつとつくづく縁があるみたいだな。
本当に迷惑だがな。)
温存しておきたいが、ここで能力を使った方がいいと判断する。
あの女性は何か事情を知っているような気がしたからだ。
麻生が乗り込もうと思ったと同時に、女性が昏倒している近くの客に向かってハンマーを振り回す。
距離は離れていたが、ハンマーから風の塊が飛んでいく。
咄嗟に上条が右手を伸ばそうとするが、それよりも早く麻生はその風の塊を掴んだ。
「「!?」」
二人は麻生の登場に驚く。
女性はそれが麻生恭介だと分かると舌打ちをし、上条はほっ、と安堵の息を吐く。
風の塊を掴んだまま、上条の隣まで移動する。
「さて、どういう状況なのかは知らないが目の前で人が死ぬのは目覚めが悪いからな。」
そう言って、目の前の女性に視線を向けて言う。
「あと、これ返すぞ。」
手に掴んだ風の塊を左足で蹴りつける。
まるでサッカーのゴールキーパーがパントキックするような要領で。
弾道のように直進していく。
それを女性は同じ様な風の塊をぶつけて相殺する。
「恭介、サンキューな。」
「礼は後だ。」
上条はああ、と言って身構える。
女性の方はあからさまにため息を吐いた。
「アンタが麻生恭介ね。」
自分の名前を知っている事に反応を示す。
「私は『神の右席』の一人、前方のヴェント。
よろしくね〜。」
そう言いながらハンマーを滅茶苦茶に振り回す。
それと同時に口の中から舌に取り付けられた十字架の鎖が空を舞う。
そして、それを掠めるようにハンマーを振るう。
「気をつけろ、恭介!
あいつの魔術は」
おそらく、ヴェントの魔術のことを言おうとしたのだろう。
しかし、その言葉を聞く前に麻生は能力を使って辺りを吹き飛ばす筈だった風の鈍器は消滅する。
自分の魔術が無効化されたことにヴェントは眉をひそめる。
「なるほど。
鎖のラインになぞるように風の魔術が発動するのか。
ハンマーの動きは囮。
本命はその鎖か。」
自分が説明しようと思っていた事を全部言われ、言葉を詰まらせる上条。
対してヴェントは少しだけ笑みを浮かべる。
「ふ〜ん、さすがはローマ教皇も危惧する奴だこと。
一発で私の魔術を看破したわね。
本命の方も効いていないぽいし、ありゃこれってピンチかな
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