第一幕その二
[8]前話 [2]次話
「楽ですね」
「そうでしょ、飲むだけだからね」
「お薬を飲むだけで何でも頭に入るのなら」
カルロスは腕を組んで言うのでした。
「最高ですね」
「カルロス勉強好きじゃないからね」
「あまりね」
神宝とジョージが笑って彼に言います。
「だから余計にだよね」
「そうしたお薬があると有り難いよね」
「こっちの世界でもないから」
かなり切実に言うカルロスでした。
「そうしたものがあればね、僕も」
「勉強せずに済む」
「そういうことだね」
「特に算数がね」
この科目がというのです。
「すぐに済むからね」
「あはは、算数だね」
「カルロスはそれが一番嫌いなんだ」
「嫌いも嫌いね」
何よりも、という口調のカルロスでした。
「本当にね」
「好きじゃないんだ」
「そこまで」
「僕達も飲んだら勉強になるのかな」
そのベンキョー錠をです。
「どうなのかな」
「なるんじゃないの?実際に」
「そうじゃないの?」
二人は笑いながらカルロスに言います。
「そこも」
「ちゃんとね」
「ううん、どうかしらね」
ドロシーは三人のお話を聞いてそれで言って来ました。
「それはムシノスケ教授に聞いてみて」
「ああ、あの人に」
「お聞きすればいいんですね」
「うん、そうすればね」
それでだというのです。
「いいわよ」
「じゃあお聞きしてみます」
実際にとです、カルロスはドロシーのお話を聞いて言いました。
そのうえで、です。ドロシーにそのムシノスケのことをあらためて聞きました。
「あの、それでなんですけれど」
「ムシノスケさんのことね」
「あの人今は何処におられるんですか?」
「王立大学よ」
そこにいるというのです、教授は。
「今はそこにいるわ」
「エメラルドの都じゃないんですね」
「そう、今はね」
エメラルドの都にいる時もありますが今は、というのです。
「あちらにおられるわ」
「そうですか」
「あそこですか」
「そう、だからね」
「ベンキョー錠のことを聞くのなら」
「王立大学に行きましょう」
そこにだというのです。
「是非ね」
「あれっ、ドロシーさん今」
恵梨香はドロシーの今の言葉を聞いてふと気付いて言いました。
「行きましょうって仰いましたけれど」
「ええ、そうよ」
ドロシーもにこりとしてそうだと答えます。
「そう言ったわよ」
「じゃあ今回も」
「貴方達が行くのならね」
その時はというのです。
「私も行きたいわ」
「それが旅行になるからですね」
「そう、私はやっぱりね」
「宮殿にいるよりもですね」
「旅行が好きだから」
生粋の旅人だからです、ドロシーは。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ