≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
ソードアートの登竜門 その弐
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イド・レートが目に見えて下がることはない。
さて、無言のままキリトから離れて暗い洞窟内部を、ハイド・レートが下がらない程度にテクテク歩いたところ、キリトの言うとおり前方二十五メートル先にはモンスター、さきほど俺を苦しめた≪ルインコボルド・バンディット≫がPOPしていた。まぁさきほどのコボルドとは違うのだが、だからといって恨みがないとは言えない。あの三匹のコボルドはキリトにやられてしまい不完全燃焼だ。一応お仲間なのであのコボルドで憂さ晴らしをするとしよう。
隠蔽スキルを発動したまま、ジリジリと聞き耳で足音のしない道を探しながら、距離にしておよそ五メートルまで近づく。
ここが現在の俺の隠蔽スキルの限界だ。これ以上近づくと看破される可能性が急激に大きくなる。しかし手甲剣のソードスキル≪暗殺≫にはこの五メートルを埋めるスキルがある。≪暗殺≫は発動した場所から半径五メートル以内では≪完全隠蔽≫ができる。その状況下ならば攻撃されるかもしくはするかをしない限り決して≪看破≫されない。
しかしこれもソードスキルに入るため≪手甲剣≫のソードスキルで最大火力を誇る≪罰≫と組み合わせて使うことができない。
つまりは暗殺でのパーフェクトハイド状態ではソードスキルが使えない。使えるのは最大威力でも、格闘ゲームでいう強パンチ程度のものだ。
――まぁそれでも、ジャマダハルなら四倍クリティカルダメージが出せるんだけどな。
ジャマダハルを背中に隠すように構えることにより≪暗殺≫の規定ポーズをとる。すると視界下部にあるハイド・レートが金色の百パーセントになる。ハイド・レートの数字が金色になるのが≪完全隠蔽≫の特徴であり証拠なのだ。
俺は小走りでコボルドの背後に回る。プレイヤーなら豪快に鳴り響く足音を不審に思うかもしれないが、完全隠蔽状態だと自分よりも格下のモンスターでは感知されない。中々に便利なのだが格下の基準が曖昧なので逐一モンスターの種類ごとで調べなければならない。以前調べたところ、この≪ルインコボルド・バンディッド≫はシステム側が言うには俺より格下らしい。つまりパーフェクトハイド圏内だ。
コボルドの後ろに回り、大きく腕を引き下げて、全力で背中から心臓目掛けてバックスタブ。ドゴォッといい音が鳴り響き、狙い通りのクリティカルが入る。
するとコボルドのHPが一気に九割ほど喪失した。コボルドは一度に大きなダメージを受けたことにより≪転倒≫に陥る。
暗殺の長い硬直時間が解けたあとに地面でうつ伏せに寝ているコボルドの背中を瓦割りの要領でもう一突き。これまたクリティカル。
コボルド
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