絆固めて想いを胸に
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戯だろうと微笑ましく思っていたんだ。
身体を起こせば、麗しい声が響いて、高らかな笑いが迎えてくれると、そう思っていたんだ。
だというのに
見渡す限りの荒野が広がっていて、周りには誰一人としていなかった。
吹き抜ける風は涼しく、心の中にまで入り込んでくるような
そんな寂しさを宿していたんだ。
頭が痛かった。
ナニカガオカシイ
警告のような痛みは、ズキズキと現実を受け入れろと理解を促した。
シッテイルハズダロウ
思い出せというように、この見た事のある風景が、胸を打つ鼓動の度に震えていた。
コノアトニダレトデアッタ
もう、失われた大切を思い出したくなかったから、蓋をするように瞼を瞑った。
ホラ、マダセカイヲカエテナカッタ
受け止める事の出来ない現実が、無情にも自分の耳から入り込んできた。
タイセツナモノヲスクワナイト
世界は、変わらない。
優しい声が耳を打った。
溢れる涙は、止まらなかった。
もう一度会えるなんて、思わなかったから。
もう二度と会えないと、分かっていたから。
だから……その胸に抱きついて
“自分を知らない彼女だとしても”
今度こそ生かしてみせようと
あの時、心に決めたんだ。
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