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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
41.神意の悪意
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今まで恐怖の対象でしかなかった彩斗の身体が糸の切れた
操り人形
(
マリオネット
)
のように崩れ落ちた。
「ガス切れか」
呆気ないものだった。あれほど恐怖、絶望だった存在も今となってはただの人よりも弱い。
「散々手こずらされたんだ。……ただですむと思うなよ」
指を鳴らす。不敵な笑みを浮かべ、右腕を突き上げる。鮮血が噴き出てくる。
「顕現しろ、二番目の眷獣、“
大蛇の母体
(
ヘラ・バジリスク
)
”──!」
再びこの世界に現出された蛇の母体。
「終わりだ。……緒河彩斗」
無数の蛇の群れが動くことのない彩斗の身体へと襲いかかっていく。
終わりとは呆気ないものなのだ。歴戦の英雄も、ただの一般人も死とは平等なんだ。それは吸血鬼でもあっても例外ではなかった。
立上はせめてもの弔いで黙祷を捧げた。
「立上さん」
隣のいる少女が声を震わせながら呟いた。
その声に反応し目を開ける。すると蛇の群れに囲まれていた少年の姿が霧のように薄れていく。
吸血鬼の霧化現象だ。しかしあのような状態の彩斗にそんなことができると思わない。
チッ、と舌打ちをする。
「まさか俺を騙せるほどの術者がいるとはな」
彩斗の身体が完全に霧に変わった。それとともに新たな人影が現れた。
銀の刃を持った黒髪の少女。獅子王機関より“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の監視役、逢崎友妃だ。
金髪の吸血鬼の眷獣の攻撃の前に“夢幻龍”の霧化がギリギリで間に合い彩斗を救い出すことができた。
だが、決して状況が変わったわけではない。彼の後ろには、美しい女性の肉体を持った眷獣がいる。それは“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣だ。
逃げるにしてもあの眷獣を止めることができなければ彩斗を助けることはできない。
どうする?
“夢幻龍”の全開を使えばギリギリで抜けられるかもしれない。
可能性があるなら諦めてはいけない。最善策を尽くさなければならない!
銀の刃を金髪の吸血鬼へと向ける。
「やる気みたいだな。それじゃあ、緒河とともに死ね」
彼が指を鳴らす。すると蛇の母体の本体がついに動き出した。
右腕をゆっくりと前に伸ばす。その瞬間、蛇の母体の右腕が巨大な蛇の頭となり襲いかかってくる。
それほどの質量の塊を友妃一人で防げるのだろうか?
いや、防ぐのだ──なにがあっても防がなければならない。
彼を倒すことができるのは彩斗だけなのだ。ここで失うわけにはいかない。
友妃の命に変えてでも彼だけは護らなければいけない。
覚悟を決めて襲いかかってくる巨大な蛇に刃を尽きたてようとしたその瞬間だった。
「──“
蒼
(
ル・ブルー
)
”!」
友妃の眼前に現れたのは、青い甲
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