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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
41.神意の悪意
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い。
さらに深く抉りこまれた牙が右腕の肉を喰い千切る。
鉄の味とともにぶよぶよした感触がわずかに伝わってくる。生臭い。今にでも吐き出したいくらいの不味さだ。
それを無理やり呑み込んだ。喉を自らの肉が通っていく。不思議で気持ち悪い感覚が体内へと流れ込む。
「グァ……──ッ!?」
身体から何かが這い上がってくる。彩斗ではない何かが殻を破ろうとしている。
こいつはヤバイ!、と自己防衛本能が抑えこもうとした彩斗だったが今の彼にはそれを止める力は微塵も残っていなかったのだった。
止めどなく流れでる魔力の波が大気を震わす、引き裂く、劈いていく。
島は今にも崩れ落ちそうだ。
目の前で起きている光景に
立上遥瀬
(
たてがみはるせ
)
は身を震わせた。膨大な量の魔力が一人を中心に大気へと放出されている。そんな量の魔力を立上は感じたことがない。
ましてやその魔力は敵意に、殺意に満ち溢れている。
「な、何をした……緒河ァ!」
立上は叫んだ。魔力の中心を睨みつける。
先ほどまでの立つことすらできなきなかった“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の少年が今が化け物へと変化していた。姿が変わったわけではない。だが、その瞳は真っ赤に染まっている。真っ赤という表現は違うかもしれない。緋色の瞳が漆黒を纏っている。それは吸血鬼のそれではない。
「血ヲ……喰らウ……止メる」
意識を失っているのかわけのわからない言葉を口に呟き続けている。
彩斗がわずかに動いた。すると彼は一瞬のうちに立上の目の前に現れた。
捉えられないほどの速さだったが、彩斗の拳は立上には届かない。奈落の門番の不可視の壁だ。
彼の拳が衝突するとともに衝撃波を生み出す。それは吸血鬼の筋力という言葉だけで片付けていいほどの威力ではない。
「喰ラウ、助ケナきャ……皆ヲ……殺ス!」
緋色の瞳が立上を睨みつける。それは一層恐怖心を高ぶらせる。真近でみた彩斗の姿はもはや吸血鬼でも、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”でもない。それは人の身を捨てた“化け物”という言葉がよく似合う。
「消し去ル……オれの邪魔ハ、サせなイ!!」
右腕から膨大な量の鮮血が噴き出す。
その鮮血は、眷獣をこの世界へと顕現させるための動作の一つだった。つまり彩斗は眷獣を再び呼び出す気なのだろう。
しかし、彼の眷獣を呼び出すよりも早く立上は動いた。拳を固めて彩斗の顔面めがけて殴りかかる。
眷獣を召喚中は吸血鬼の身体は無防備となる。もとより脆弱な身体を持つ吸血鬼を護ることが出来るのは、己の身体能力と眷獣だけだ。眷獣の召喚中はその二つが封じられている。
この瞬間を狙えばいくら伝説の吸血鬼でも無力だ。
しかし、彩斗は眷獣を呼び出す前に鮮血を噴き
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