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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
41.神意の悪意
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れだけの数を止められるか、緒河ァ?」
不敵な笑みを浮かべる立上。それはもはや恐怖でしかなかった。あれこそが二番目の眷獣である“
大蛇の母体
(
ヘラ・バジリスク
)
”の真の力なのだ。あの蛇の一体一体が“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣。そしてあの一体一体が真祖を殺せるほどの猛毒を所持している。
絶望的な光景に指一つ動かすことができない。まるでメデューサの瞳でも見たようにだ。いや、今の彩斗には立上の真紅の瞳はメデューサの瞳に変わらない。
『諦めないで、彩斗』
誰かの声がした。すごく懐かしい気がする。しかし、いまの彩斗を動かせるほどの力はなかった。
絶対的な恐怖の前に伝説の吸血鬼もただの人間も反応は一緒なのだ。
『彩斗なら出来るよ』
無茶なことを言うな。そもそもなぜ彩斗が戦わなければいけないのだ。なぜ命をかけてまで戦わないといけないのだ。別に彩斗は“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の力が欲しかったわけではない。
それなら立上に譲ってもいいのではないのではないか?
「……それは違ぇな」
否定する。それだけは肯定してはいけない。
それは過去の彩斗を否定することになる。まだ思い出すことのできない誰かとの約束を否定することになる。
それだけはしてはならない。
──動けよ。
自分に言い聞かせる。脳が身体を動かすように電気信号を送る。しかし身体は動かない。
すると誰かが背中を押すような感触がした。その温かな感触を彩斗は知っている。
そうだ。そうだったんだ。
──彼女だったんだ。
『やっと思い出してくれたんだ』
「ああ」
こんなところで思い出したくなかった。
違うか。こんなときだから思い出せたんだな。
──またあの時みたいに背中押してくれるか?
『しょうがないな。……行ってこい、彩斗!』
その響きこそが彩斗の身体を動かすための力だった。
今一度絶望へと目を向ける。あれほどの大群を止めることはできるかどうかすらわからない。しかしやらなければいけない。
暴走してでも、魔力を使い果たしてでも食い止める!
右腕から鮮血が噴き出す。
「──降臨しろ、“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”、“
狩人の二牙
(
アルテミス・ストレ
)
”、“
戦火の獅子
(
アレス・レグルス
)
”!」
魔力の塊が太陽の狗、狩人の猪、鮮血の獅子の形を形成していく。さらに武器化していた黄金の
一角獣
(
ユニコーン
)
と紅蓮の牛を眷獣へと戻す。
今、彩斗がもてる全ての眷獣をこの世界へと呼び出した。
「その程度の眷獣どもで俺の“
大蛇の母体
(
ヘラ・バジリスク
)
”を止められると思うなよ」
立上がわずかに指を動かした。すると今まで蠢くだけだった蛇が彩斗めがけて雨のように
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