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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
41.神意の悪意
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右手に握られていた鮮血の石が輝く。空中に無数の鉄の杭が錬成されていく。
彩斗がわずかに指を動かした。その瞬間、無数の鉄の杭が立上をめがけて降り注いでいく。
いくら真祖さえも殺す吸血鬼である“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”といえどもその身体は脆弱だ。凄まじい回復能力を持っていても同じ“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣の攻撃を受ければただではすまない。
しかし、鉄の杭は立上の身体へと食い込むことはなかった。まるでそこに不可視の壁があるとでもいうように全てが撃ち落とされていく。
ちっ、と大きく舌打ちをし、彩斗は地面を蹴り上げた。解放された吸血鬼の筋力と“
海王の聖馬
(
ポセイドン・ユニコール
)
”によって爆発的に引き上げられた身体能力が一瞬にして立上との距離を縮める。
拳に魔力を纏わせ立上へと殴りかかる。しかし立上に当たる前にやはり不可視の壁が彩斗の拳を妨げる。
「お前じゃ、俺には届かねえよ」
不可視の壁越しに立上の不敵な笑みを浮かべる。
「いや……ぶち抜け、アテーネ!」
彩斗が叫ぶ。それに応えるように黄金の翼の梟が不可視の壁へと激突する。
黄金の翼の梟が持つ無力化の能力が不可視の壁を消滅させていく。それに逆らうように不可視の壁が青白い閃光を放ち抵抗する。するとついに不可視の壁を出現させていた者が姿を現した。五十はあるであろう頭部に腕があるべきところにはそこにも五十本の腕。それが左右についている。その姿はまさしくギリシャ神話の登場する巨人。奈落の牢獄タルタロスを守護する門番の“
奈落の番人
(
ヘカトンケイル
)
”だ。
しかし、奈落の牢獄を守護する門番だとしても全てを無力化する翼の前では無意味なのだ。わずかな抵抗でしかない。
黄金の翼を持つ梟が奈落の門番の身体を貫いて消滅させる。
不可視の壁が消滅するとともに彩斗は一歩踏み込んで拳を固める。
「歯食いしばれよ。クソ野郎ッ!」
後ろに引いた右の拳が立上の顔面へと抉りこむ。さすがの反応速度で立上は拳を右腕でガードする。しかしその程度で防げるほど強化された彩斗の拳はあまくない。
バキッという快音を立てて、立上を吹き飛ばす。
「さすが、あの女の梟だ。そうじゃなきゃ……張り合いがねえよな、緒河ァ!!」
立上の瞳が真紅に染まる。それとともに後ろで沈黙していた蛇の母体が動き出した。
ひぇぇぇぇ、という声にならない絶叫。耳が痛くなる。
そして再び、蛇が出現し出す。彩斗は言葉を失った。
蛇の母体の身体から、空間の隙間から。その数、十、百、千、万、十万、いや……それ以上だ。
蛇の大群はみるみるうちに十三号
増設人工島
(
サブフロート
)
の空を包んでいく。そして夜空の全てを覆い隠すほどに膨れ上がったところで止まった。
「こ
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