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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
41.神意の悪意
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した。
あれだけ受けていた傷が嘘のように治っている。
その場から動こうとした彩斗を何かが妨げた。それは鎖の感触だった。両腕が縛られた彩斗は、安っぽい鉄パイプに座らされていた。
開ききらない瞼に映る光景に彩斗は困惑した。
それは先ほどまでいた十三号
増設人工島
(
サブフロート
)
とは違っていた。中世の城館を連想させる部屋だった。
そんな部屋で彩斗は縛り付けられている。どうやら縛られているのは両腕だけではなく、身体を巻きつけるように何重にも鎖が巻かれている。
無理やり引きちぎろうとしたが、ビクともしない。吸血鬼の力を持ってしても壊せないということは単なる鎖ではなく、魔術的な強化が施されている。
「目が覚めたんだね、彩斗君!」
考えていた彩斗の背中から少女の声が響いた。慌ててこちらに駆け寄ってくる逢崎友妃だった。
「逢崎!?」
友妃が心配そうに彩斗の顔を覗き込む。近くで感じた彼女の香りに少し頬が紅潮しだす。
このままではいけないと思い彩斗は話題を変える。
「な、なんで俺は縛られてるんだ?」
「おまえが暴走しないようにだ」
ゆらりと波紋のように虚空を揺らして、音もなく新たな人影が二つ現れた。
豪華なドレスを身にまとった人形のような雰囲気を漂わせる自称二十六歳──南宮那月。ボーイッシュな印象のなぜか男物のジャケットを着こんでいる美少女──仙都木優麻だ。
「那月ちゃん……!? それに優麻!?」
「ちゃんではない」
額に衝撃が走る。後方へとわずかに仰け反る。
「久しぶりだね、彩斗」
予想外すぎる再開に彩斗が意味がわからなくってきた。まずここがどこなのかも彩斗にはわからない。
那月がゆっくりと歩いて彩斗の前に立つ。
「時間がない。詳しい説明はあとだ。始めるぞ」
那月の言葉に優麻と友妃が彩斗から離れる。そして友妃は“夢幻龍”を優麻は、“
蒼
(
ル・ブルー
)
”を出現させる。
その状況にもはや彩斗の頭はついていけない。
だが、那月の左腕に、一冊の古びた本が抱かれていた。
その本には見覚えがあった。
「──その本って!?」
「ほう、覚えていたか?」
那月が感心したように唇を吊り上げる。
「仙都木阿夜が持ってた、那月ちゃんをサナにしたやつだな」
「そう。“No.014”……
固有堆積時間
(
パーソナルヒストリー
)
操作の魔導書だ」
固有堆積時間
(
パーソナルヒストリー
)
とは、ある存在が生み出されてから現在までに過ごした時間の総和、すなわち魔術的に蓄積された個人の歴史そのものだ。
経験、記憶、成長、変化──魔道書“No.014”は、それら他者の
固有堆積時間
(
パーソナルヒストリー
)
を奪う。優れた術者を大人か
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