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東京百物語
ゆり
三本目
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青山の横から山下がぴょこりと顔を出して言ってもくれる。



「…ごめん、一から説明してもらえる?」



「あーうんとね、(せい)が、ゆりちゃんを怖がらせてるものは霊じゃなくて、生きてる人間の仕業じゃないかって言い出して・・・」



「ほら、今日除霊されにいくときに、今までノックがあったり、振り返っても誰もいないのに見られている、とか話してくれたよね?それを聞いてて、もしかしたら、って思ったんだ」



「でもはっきりしてないのにそんなこと言うと折角元気になったのにゆりちゃんまた怖がらせちゃうでしょ?とりあえず今日は夜なべしてゆりちゃんチ見守って、証拠掴んでから知らせようかなって・・・」



「けど、来て良かった。これで、本当の本当にもう安心だよ」



 そう青山に言われても、ゆりはまだ頭がついていけない。



「え、待って。つまり、何、私が今まで怖がっていたのは幽霊じゃなくて・・・ただのストーカーだったって事?」



「有り体に言えば」



「おばあさんにしてもらった除霊は?」



「あれは・・・」



 青山は言い淀む。



「インチキ、ってこと!?」



「いや、百パーセントインチキってことではないんだけど・・・」



「何それ!霊が憑いていないのに除霊するってインチキでしょ!?そもそも、何でインチキかインチキじゃないか、青山くんにそんなことがわかるのよ!」



「あー・・・こんなこと言うと、胡散臭いんだけど・・・うち、家系的に霊感がかなり強くて・・・」



「はぁ!?」



 ゆりは反射的に吠えた。霊だの除霊だのストーカーだの、理解の範疇を超えた出来事が立て続けに起こって、もうゆりの頭はパンクしそうだった。



「あのおばあさんが唱えたのは『天津祝詞(あまつのりと)』の禊祓詞(みそぎはらえのことば)。適当に言ってるんじゃなくて、ちゃんとひとつひとつに意味を持つ、古来から伝わる歴とした祝詞だよ。ただ、わかってやってるのかそれともわかってないのかわからないんだけれど、あれは祓うんじゃなくて、ただ霊を集めてた。蝋燭もそう。蝋燭の火は本来霊を集める為だけのもので、線香で上に昇らせる。けど、今回は蝋燭しかなくてしかも霊を集めるだけ集めて火を消してた。つまり」



「・・・じゃあ・・・あの部屋の中は・・・」



 震える声で山下が問う。青山は困ったように頷く。



「うじゃうじゃ」



「キャーッ!何か今更・・・やだああああ!」



 山下は自分の体を掻き毟った。



「あ、日紅は大丈夫だよ」



「なんで、なんで大丈
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