暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
騎乗兵、再戦
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断言できる。見えることのない彼女の目が、オレを見ているということを。
眼を合わせるということ自体が魔的な効力を持つことはあるが、視線すら合わせずこちらに干渉することは不可能だ。
ならばこうして感じている忌避感、嫌悪感は、彼女の眼そのものが帯びている魔力が強大であることを意味している。
ライダークラスのサーヴァントを相手取るにあたって、最も警戒しなければならないのは保有する技能や所持している強力な宝具。
多少とはいえ不利になってきている戦況を覆すために、そのどちらかを解放する気なのだろう。
「フェンサー。攻撃や迎撃は考えず、敵の初動への対応、もしくは回避だけに専念しろ」
「わかった。マスターは下がってて。直接戦闘じゃなく宝具勝負になれば、どこまで守りきれるか分からない」
指示と方針をオレに完全に任せているフェンサーが言うのならば、よほど警戒に値するということか。
余計な言葉や意見なら無視するのだが、さすがに助言を呈されたとあっては聞き入れないわけにはいかない。
戦闘において、オレもフェンサーも遊びを挟むということは絶対にない。
必要な言葉だけを交わし、敵を撃滅するという根幹にある戦闘思考が似通っているからだ。
少しだけ距離を取り、オレ自身も敵の動きを注視する。
幸い竜牙兵どもは綺麗さっぱり片付いている。
再び取り囲まれるまでに、一分か二分程度の猶予か。
ライダーが何かの能力なり宝具なりを発動するにしても、対処するだけの余裕はあるだろう。
「ふふふ……随分と警戒しているようですね」
当然だろう。ライダークラスに限らず、敵が特殊な行動に移ったのなら普通は警戒心を抱くものだ。
英霊と謳われたサーヴァントの能力、宝具は現代魔術の常識では考えられないような力を発揮する。
それを初見で防ぎきる、躱しきることなど不可能で、事実ランサーとフェンサーが戦った時も、互いに痛み分けとするしかないほどの戦いだった。
だからこそこうして、万全の態勢を整えているのだが………………
(けど…………なんだ、この胸騒ぎは)
ライダーに視られていると感じ、背中に走った怖気と寒気。
そのときからずっと嫌な予感がしているのだが、それは収まるどころか大きくなる一方だ。
そしてライダーが、微笑みながらその眼帯に指を掛ける。
そう、オレたちは間違えていた。
強く警戒するあまりに、ライダーにその眼帯を外させてしまった。
この世に在り得ざる瞳、
宝石
(
ノウブルカラー
)
と位置づけされている最高位の魔眼。
それは解放されてしまった時点で、手遅れだったのだということを────────
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