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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
騎乗兵、再戦
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に襲い掛かってくる竜牙兵も片っ端から
殴り付け
(
解呪し
)
ながら、息の続く限り呪文を連続詠唱する。
そうして開かれた道を、ライダーに匹敵する速度で駆ける銀の疾風。
瞬閃────その一刀で首を落としにいった決殺の一撃を、ライダーは事も無げに躱し切った。
反撃に繰り出される鉄杭。
迫る鉄牙を剣の柄で弾き、そのまま力任せに胴体を叩き斬る。
磁石が反発するように飛び退き、再び回避するライダー。
リプレイする映像のように、二人は一進一退の攻防を繰り返す。
そうして十一度目の剣撃。
今まで残像しか捉えられなかった剣閃が、今回は相手の脇腹を僅かに掠めた。
黒衣が裂け、ライダーの肌が露になる。
次はその白い肌に朱色の線が走り、その次は明確な傷が刻まれる。
「くっ……!」
追い付かれ始めたと感じ、ギアを一つ上げるようにライダーは更に一段階加速する。
また同じように一撃離脱を行うも、今度は八度目の剣撃で追いつかれる。
段階的に加速し続けるライダーと、それを追い越すように加速するフェンサー。
最速を実現する概念を前に加速するということは、自らの首を締めることと同義。
このままの調子で速度を上げていったなら、必ず先にライダーの方に限界がくる。
己の加速によって相手も加速するのだ。
限界までアクセルを踏み込んだ後、フェンサーがその反応速度を越えた時点で、ライダーは神速の剣の前に両断されるだろう。
オレの動体視力ではもう残像しか捉えられない速度領域に到達した二人が、一体どのような攻防を繰り広げているのかはわからない。
けれど間違いなく傷を増やしていっているのはライダーで、フェンサーが有利に戦況を運んでいるのは把握できた。
切傷と裂傷にまみれ、血の赤に自身を染め上げながらも、致命傷はないままにライダーは駆け続ける。
ひたすらに人形を倒しながらも、二人の戦いに見蕩れていたのはどれほどの時間だったか。
いつしかライダーはその動きを止め、呼吸を多少乱しながらも落ち着いた様子でこちらを見つめていた。
その瞬間、いつかに感じた怖気が背中を走った。
初めてあった時から今もなお、眼帯で封じられている彼女の眼。
隠され続けているそれを見たことなどなく、その眼がどうなっているかなど分かりはしないというのに、確実に視られているという違和感。
「シンジ、離れていてください。ここからは、少し荒れた戦場になるでしょうから」
「え?」
言われていることがわからないといった感じのまま、今でもかなり後方にいる慎二は無意識のまま更に後ろに下がっていく。
そうしてライダーの視線がフェンサーからオレへと切り替わる。
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