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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
騎乗兵、再戦
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殊な魔術礼装や儀式方陣、大気の
大源
(
マナ
)
を利用することが大前提となる。
いつどこで接敵し交戦するかも分からないのに、そんな大掛かりな仕掛けを幾つも用意するのは非効率でしかない。
ならばやはり聖杯戦争における戦闘はサーヴァント同士の潰し合い…………そうなれば本来は支援が役目の魔術師のもその存在意義は無きに等しい。
先程の攻防がライダーではなく白兵戦に長けたサーヴァントだったなら、今頃オレの命があったかはわからない。
そもそもセイバーやランサーが相手だったなら何があろうと前に出るという選択肢は有り得ない。
だからといって遠くで待機していても、どこかに身を隠していても、常に戦況を把握していなければ的確な令呪の使用が出来ない。
本当に本格的な戦闘になった場合の有効的な援護手段を考えておくべきか。
それは今後の教訓として活かすにしても、現状はあまり前に出ない方針にする。
前衛はフェンサーに任せ、オレは周りの雑魚狩りに専念した方が得策だろう。
「悪い、世話を掛けた。前衛は完全に任せる。慎二は狙い目だが後回しだ、先にライダーを片付ける」
「了解」
いつもの軽口はなく、ただ下された指示に従順する。
フェンサーが己の役割に徹してくれるのなら、彼女を勝利まで導いてやるのがオレの役割。
本当なら人形程度にてこずっている場合ではないのだが、これが思っていたより厄介だった。
質より量とはよく言ったもので、個々が低性能であるという弱点を補うための物量作戦が見事に嵌まっている。
実際に二、三十体の竜牙兵を一掃したにも関わらず、奴らは再び校庭へと集まり始めていた。
破壊しきれなかった竜牙兵が自動修復で立ち上がってくる数も合わせれば、すぐにも元の数に戻るだろう。
単一行動しか取れない人形でも障害物にはなるし、先程のように慎二を庇ったりする分には単純な壁にも使える。
もしも組み付かれて身動きが取れなくなったりしたなら、高い敏捷性を持つライダーの恰好の餌になってしまう。
だが──────
「おまえはライダーだけに専念しろ。人形はオレが片付ける」
フェンサーが命を懸けて戦っているのに、オレがその程度のリスクも背負わなくてどうする。
甘さも感情も何もかも捨てて、魔術師としての
黒守
(
じぶん
)
に還ったとしても、フェンサーとの間にある信頼だけは最後まで残っているのだから。
あの夜に抱いた共に戦い抜くという決意は、決して軽いものじゃない。
「往け、フェンサー!
Blitz Shot
(
雷撃
)
,
a Precise Rifle Bullet
(
精密狙撃弾
)
!」
進路内にいる邪魔になりそうな奴にだけ狙いをつけ、精密射撃で一体ずつ処理していく。
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