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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
騎乗兵、再戦
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利に働いた。

 ライダーの速度は限界強化した状態の動体視力で辛うじて視認でき、跳ね上がった身体能力でギリギリ反応が間に合うレベルだ。
 鉄杭と鉄鎖を絡めた多角的な戦法や、これ以上の高速移動で攻め込まれた場合、さすがに堂々と接近は出来なくなる。

「くっ……」

 今の蹴りのダメージなどないだろうが、それで一時的にでも後退させられたのは僥幸だ。

 この一瞬があれば、何の魔術行使も出来ない慎二の頭蓋を消し飛ばすなど容易に過ぎる────!
 
Blitz Shot(弾けろ)!!」

 後退りながら怯えた表情を浮かべる慎二の顔面に向けて、烈光の弾丸を放った。

 加減も容赦も情けもない。
 この機に決殺する意志を込め、全力でその一撃を放った。



 そうして必殺の確信とともに撃ち出した光弾は──────



 ──────三体の竜牙兵が慎二を庇ったことで阻まれた。



「チッ、うぜぇ!」

 続けざまに光弾を放つが、慎二の防衛に回ったライダーの身体に触れた瞬間、光弾は跡形もなく霧消した。

 そして対魔力を盾に、目前のオレへと紫蛇が牙を剥く!

「ッ……!」

 即座に後退するも、ライダーが両手に握る鉄杭を飛ばす。
 標的のはずのオレを逸れ、真横を通りすぎていく二つの牙。

 それを外れたなんて考える間抜けさは持ち合わせていない。

 鉄杭がオレの後ろに位置したのを確認してから鎖が引かれる。
 糸を手繰るようにして操られた双牙が、死角となる背面より迫る。

 ライダーは前進を止めていない。

 突進する自身と鉄杭による挟撃だ。

「く……ッ!」

 地面に這いつくばる勢いで伏せて鉄杭を躱すも、ライダーは既に蹴りを構えていた。



 姿勢を崩した今のオレに、二度目の回避は許されていない──!



「ハァッ──!!」
「がッ、ぁああ……!」

 顔面を打ち抜くように、突進の勢いと全身の回転を乗せて蹴り出される旋脚。

 まともに食らえば、万が一に頭が残っても首が砕き折れる。
 咄嗟に両腕を交差させてガードするも、その防御ごと貫通する超衝撃。

「ぐ、ぅっ……」

 …………一応、頭部へのダメージは防げたか。

 代わりに両腕の骨がギシリと、折り曲げられて軋む枯れ枝のような音を響かせた。

(……もしかしたら罅くらい入ったか? だがこの程度なら戦闘に支障はないな)

 冷静に思考を巡らせる。あくまで自分の状態を客観視する。

 すぐに行動不能になるような損傷ではない。
 肉がちぎれたところで、骨が砕けたところで、皮一枚にでも繋がっていれば修復は可能だ。



 己の身体など目的を成すための道具で
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