暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
騎乗兵、再戦
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を断られてオレに完膚なきまでに敗北し、強い復讐心にも似た感情も芽生えていたはずだ。

 そこをキャスターに付け込まれ、体よく利用されたらしい。

 悪知恵の働く(頭の回る)キャスターなら、慎二を言いくるめるなど造作もないことだろう。
 自分たち以外のマスターに執着し、魔術師ではなく戦闘経験も権謀術数の知恵もない。だというのに破格の戦力であるサーヴァントを保有している慎二は駒として最適だ。

 実際にこうしていいように使われ、使い魔程度の兵力を貸し与えることで取引に応じる慎二は、キャスターにとって非常に都合の良い相手だっただろう。

「ふん、三流なのはどっちだろうね。今さら知ったところでもう既に結界は起動してるし、竜牙兵も展開してる。それに僕は、キャスターに乞われて仕方なく協力してやってるんだ。
 ちゃんとした協力体制を取って、策謀におまえたちを嵌めてきっちり殺す算段を立ててきてる。休戦なんて半端な取り決めをしながら、いつまでも敵に仕掛けにいかないマスターよりはよっぽど優秀さ」

 なるほど。キャスターがどういうふうに慎二を口説き落としたのか大体は分かったな。

 人一倍高いプライドを充足させてやるように下手に出ながら、あくまで自分の思い通りに動くよう交渉した。
 魔術師のクラス故に前線には出られないが、代わりに兵力を与え、それらを意のままに操れる権限を譲ることで自分がそれだけの存在であると思わせた。

 加えてキャスターに選ばれるほどの優れた魔術師に認められたという事実は、魔術師じゃないマスターである慎二には十分な価値があったのだろう。

 たとえそれが、仮初めの言葉だったのだとしても──────

「キャスターに唆されて、まんまと戦いに出てきたってわけか。馬鹿が……そうやって利用されてることさえわからない間抜けだから三流っつったんだ、ド素人」
「っ……精々吠えてろよ。おまえがここで死ぬことに変わりはないんだからな!」

 周囲を数十体の竜牙兵が取り囲んだ。
 内の何体かは、慎二とオレたちの間を阻むように陣取っている。
 一応、協力者としての姿勢は見せているのか。

 しかしオレとフェンサーに対してその壁は、多少は邪魔になるという程度。

 慎二がオレたちの内の誰かを倒せれば良し、もしくは多少のダメージを残すだけでもいい。
 陣地に引き篭って街中の人間から生命力を搾取するようなキャスターなら、いずれかのサーヴァントの手の内さえ見られればいいと思っているかもしれない。

 慎二がマスターであることによるライダーの欠点……魔力不足が解消された今、さすがに宝具の使用無しに勝利することは難しい。

(キャスターの策略に先手を打たれたのはマズかったか…………)

 嬉々とした表情を浮かべ、慎二
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ