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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第22話 初陣 その2
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「了解しました」
 リンチの命令は緊急通信で別動隊に飛ばされ、別働隊は行動を停止して、根拠地から距離をとる。その間に追撃部隊は最後の一隻を撃破したが、俺は勿論のことリンチも浮かれていない。

「『置き土産』については理解したが、このまま遠巻きに包囲していたところで意味はないぞ」
 別動隊の先任指揮官から遠回しの抗議を受けたリンチは、バディガンのメインスクリーンに映る根拠地の姿を見て、俺につぶやいた。
「強襲上陸して内部を調査するか、それともいっそ爆破するか」
「円筒中心軸に合わせて、戦艦の長距離砲による一点集中砲撃で、内部の艦艇だけを吹き飛ばせませんか?」
「……そういう奇妙な芸が出来るとは思えんが、どうせ調査したところで根拠地は処理するところだ。訓練がてらにやってみるか」

 リンチの半ばやる気のなさそうな返事と指示の下、二〇隻の戦艦がのったりゆったりと密集陣形を形成し、慎重な軸線調整の後に、その全艦が斉射を行う。砲撃まで一時間以上もかかっているわけだから、この部隊が実戦で一点集中砲撃などできないだろうが、今回は上手くいったらしく、太く青白いビームがほぼ正確に円筒内部を貫いた。望遠映像では分かりにくいが、両開口部から爆炎が上がったのは間違いなかった。そしてその数秒後、根拠地が文字通り粉々に吹き飛んだ。その破片で砲撃した戦艦の装甲に傷がつくくらい大きいもので、かなり離れていたババディガンすら爆発の余波による微細振動を感じたほどだった。

「……中尉、これから気がついたら遠慮なく意見をいいたまえ」
 二〇隻程度の戦艦の集中砲撃で元が岩石型小惑星の頑丈な根拠地が粉々になるわけがない。明らかに内部に爆発物が仕掛けられていた証拠だろう。その爆発物も液体水素だけはなく、ゼッフル粒子も含まれていただろう。もし上陸を試みていたら、皆吹き飛ばされていた……その恐怖に震えているリンチの言葉に、俺は感謝する事もなかったが、少しは人の意見を聞けるようになったリンチに、俺は言った。
「海賊の首魁はこの星区にはいなかったと思われますが、爆破スイッチを押す担当の海賊の一部がどこかに潜んでいる可能性は高いと思われます。この星区の調査と並行して、次元航跡追尾装置による調査も行ってはいかがでしょうか?」
「小惑星帯に別の根拠地が残っている可能性がある。任務もあるしあまり数は割けんぞ」
「巡航艦分隊を二つ、それとドールトン准尉をお貸し願いませんか?」
「……よかろう。やってみてくれ。ドールトン准尉に関しては艦長の領分だ。俺からもそうしろと言っていたと伝えれば何とかなるだろう」
「ありがとうございます」
 俺はリンチに敬礼すると、参謀席とは反対に位置する艦長席へと歩みを進める。ババディガンの艦長は特に俺に対して含みがあるわけではないからいいとして、問題はドー
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