第22話 初陣 その2
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宇宙暦七八五年一二月 ケリム星域ネプティス星系外縁D星区
リンチの指揮の下、D星区における第七一警備艦隊による宇宙海賊の根拠地への攻撃が開始された。
帝国の前進基地とは異なり、海賊の根拠地というものは軍用艦艇による重層防御も、根拠地自体の防御能力(防御火力・装甲含めて)も薄いというのが常識だ。
艦艇の小規模補修用のドックと係留宙点、転売に備えて戦利品を保存する倉庫あるいは空間、乗組員の為の簡単な休養施設と近隣惑星へ向かう為の小型艇用の桟橋、艦艇用の燃料・エネルギー貯蔵施設などなど。宇宙海賊が必要とする施設は多いが、あまり目立った施設を建てればすぐに討伐軍が派遣されるので、おのずと小規模なものになる。
仮に強力な防御火力を備え付けたところで、討伐艦隊の火力の前にはあまり意味をなさない。それこそアルテミスの首飾りや、トールハンマーのようなレベルでもない限り。
まずは定石通り、駆逐艦と巡航艦による重層球形方位陣を形成した上で、根拠地に向けて通信文を送る。
「我々はケリム星域第七一警備艦隊である。根拠地に潜む宇宙海賊に告ぐ。降伏せよ。しからざれば攻撃する」
降伏したところで、宇宙海賊の処罰は情状酌量の余地がない限り、懲役二〇年以上死刑までと決まっているので、当然無視される。こちらも無視される事は織り込み済み(リンチは降伏すること自体望んでいない)であり、リンチは返答期限が切れるとすぐさま行動を起こす。
ゆっくりと包囲網を狭めつつ、後方より戦艦と宇宙母艦より根拠地に向けて長距離砲による対地予備攻撃を開始する。すでに観測の結果から、根拠地の形状が比較的大きめの小惑星をくり抜いたダヤン・ハーン基地同様の円筒型と判明しているので、その砲撃は遠慮がない。海賊側からの反撃もなく、光子砲は小惑星の両面を焼きつくしていく。
「頃合いだ、スパルタニアンを出せ」
制宙権(一度言ってみたかった)を確保し、海賊側の伏兵の除去と強行偵察を同時進行で行うスパルタニアンが宇宙母艦から切り離される。付近哨戒に三個中隊、根拠地上空制圧に二個中隊、強行突入に二個中隊が派遣される。強行突入の二個中隊が中隊毎に円筒の上下出口から突入を開始すると、異変が起きた。
「おおっ」
根拠地の一方の出口から、スパルタニアンを排除するような加速で、海賊船が一〇数隻飛び出してきた。衝突こそ免れたものの、数機が加速とエネルギー中和装置を浴びて制御不能になり、小惑星に激突する。
「今更脱出か? 間抜けな奴らめ」
一瞬の衝撃から立ち直ったリンチが、逃走方向に配備している巡航艦と駆逐艦にレーザー水爆による攻撃を命令した後、直属の戦艦部隊を追撃に向かわせる。同時に反対方向の巡航艦と駆逐艦あわせて四隻に、根拠地への攻撃および上陸・接収の指示を出す。
「
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