下忍編
犬猿の仲
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ほんとっ、シカマルの優しさに感謝しなさいよねー」
「奈良は、いつも、優しい。いい人」
「そりゃあ、わ、た、し、の、幼馴染みだからねー」
「………幼馴染み、なのに、どうし、て、奈良、みたいに、優しく、ない?」
「はっ、あ!? あんた、しはかれたいわけ!?」
が、やはり嫌いなものは嫌いでしかないらしい。と、息をはいたあと、ふと、いのは思い付いたことをたずねた。
「…ねぇ、サスケ君の好きな子って、どんな子?」
意表をつかれたように眼を見開いたあと、カトナは数秒の間黙りこんで思考し、たどたどしくもきちんと伝えていく。
「…顔は、私の主観、だけど、山中のほうが、かわいい」
「まっ、当然ね。このいの様よりかわいい子なんているわけないしねー!!」
奇特な色の目と髪をしていて、線がやたらと細くて、折れてしまいそうで、きっと、誰よりも脆い。
「性格は…おとなしめで、…家庭的かもしれないけど、女の子らしくはない。あと好戦的」
料理や洗濯などは幼い頃からしているが、お洒落などと言ったことにはほとんど無縁。自分を着飾ろうという発想はなく、女としては駄目なくらい暴力的で荒事に向いていて、そしてそんな自分が大嫌い。
それでいて…
「サスケの気持ちを知ってて見て見ぬふりする、すっごく駄目な子」
その言葉に、いのはむっとした様子でカトナに向かって怒鳴る。
「なによそれ。サスケ君、なんでそんな子が好きなのよ!?」
いのの声にカトナは、自らのからだをはい回る呪印の存在を感じつつ、大きくうなずいた。
その意見には心のそこから同意するしかない。なんてたって、そんな女を、とカトナは思う。サスケの美貌なら、たいていの女…果ては男でも魅了できるだろう。
性格、家柄、顔、体格、血統、才能。すべてにおいて折り紙つきのくせに、なのに、そんなくだらない女を好きになった彼の気持ちなんて、誰がわかるだろうか。
「ほんとに、サスケ以外、好きに…愛してくれるひとなんていない、ってくらい、…嫌われてて、好かれない子だよ」
死ぬことを望まれた、生きることを否定された子。
サスケはどうしてそんな子を好きになったのか。カトナは一生わかるつもりはない。ただ、カトナこそが誰よりも、その人間が、いかに嫌われていて、いかに憎まれていて、いかに疎まれていて、いかに誰よりも知っている。知っていて、そしてわかっている。
そんな子を愛す馬鹿は、きっとサスケしかいないと。
ほんとにバカだなぁ、と小さく呟きながら、カトナは自分の、力が抜けた手のひらを見つめた。
温かくない、冷たい掌から伝わる、今でも忘れない感触に、カトナは目を伏せた。
「…すっごく、だめな子なのにね」
カトナはそういって、淡く、仄
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