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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
思い出-メモリーズ-part1/半妖精の友達
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拶』に『わざわざ』と付け加えるとは…あなたこそご自分の立場を考えてものを仰っているのですか!」
「私に非があると?詳細を聞かせ願いたい」
エルフであろうが娘と、正式な挙式が出来なかったとはいえ愛する妻も同然のテファの母を、兄であろうと知られるわけにはいかない。ワザとシラを切ってとぼけて見せた。
その態度に、モード大公を訪ねてきたアルビオン貴族は快く思わなかったが、相手が王弟ということもあって堪えた。
「…実は、大公様の領土にて、ある目撃情報がありまして…」
「目撃情報?」
その張りつめた空気に気づいたのか、テファはそっと、エントランスの階段を上ってすぐの扉の隙間から見ていた。
「エルフと、クマと猿を合わせたキメラのような魔物です。この領土の太守であるあなたの耳にも届いているはずですが、ご存じありませんか?」
その情報は、テファを扉の奥に引き戻そうとした彼女の母も耳にした。エルフが目撃された情報が、よりによって王政府にまで伝わったとなるとまずい。ブリミル教の経典において、自分のようなエルフは排除すべき天敵、悪魔ともとられている。見つかったりしたらアルビオン政府は黙ってはいない。もしそうなってしまったら、いかに王弟であるモード大公も…。
「いや…そのような情報は私の耳には入っていない」
テファの母はそれを聞いたときは耳を疑ってしまった。ブリミル教が根深く浸透しているハルケギニアで、エルフを保護することなどご法度だ。だが、モード大公はなおもエルフである自分の妾と娘の存在を隠ぺいし続けてきた。家臣たちにも決して口外しないように口止めしていたのである。
(あの人は私たちのことを…でも…)
彼女は同時に心苦しかった。自分たちの存在が、愛する人の首を絞めているのだから。しかも、相手のアルビオン王は彼の兄でもあるのだ。同じ血が流れている者同士、争い合う義理などないのに、自分と娘のために彼は兄を裏切ろうとしていることが悲しかった。
「…まあ、知らないとそこまで仰るのならば信じましょう。ですが、我々が自ら調査に当たらせてもらいます。よろしいですね?」
流石にこれ以上、モード大公は断ることはできない。ただでさえ疑われている立場なので、下手に断ってしまえば余計に怪しまれてしまう。訪問してきた軍はこの場をいったん引き揚げたが、モード大公に対する疑いを晴らさなかった。

そしてある日、ティファニアのこれまでの人生の中で最大の悲劇が訪れた。
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