思い出-メモリーズ-part1/半妖精の友達
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がとう」
その木の実は、地球で採れるはずの実…どんぐりだった。それも、本来なら指先ほどの大きさのはずが、掌にちょうど収まるほどの大きさだった。彼女はそれを大事にとっておくことにした。
しかしある日、ついに屋敷を抜け出してしまっていたことが、母親にばれてしまった。いつものように母親の元にやって来たテファだが、母親のいつもの暖かな表情ではなく、険しい表情になっていたことに気が付いて思わず恐怖を覚える。
「ティファニア、あなた…勝手に屋敷の外に出ていましたね?」
母親の厳しい視線が突き刺さるあまり、テファは縮こまった。
「……」
「黙っていてはわかりません。ちゃんとあなたの口から話しなさい」
「…………はい」
エルフ特有の尖った耳が、しゅんと落ち込み気味の彼女の気持ちに呼応して下に垂れていた。
「ティファニア、外の世界に興味を持ちたくなる気持ちはわかります。でもね、だからといって、あなたが外に出ていい理由にはならないのですよ。もし、あなたの正体がわかってしまったら、あなたは…」
わかっている。それ以上は言わなくても。敢えて彼女の母が言わなかったのは、もし口に出してしまったら、言霊と言う言葉があるように、本当にそうなってしまうのではないかと言う悪い想像をしてしまうからだ。
「ですから、あまり軽率な軽率は控えなさい」
「…ごめんなさい。お母さん」
「そう落ち込まないで。私も言いすぎたかもしれないのだから。でもね、私もそうだし、お父様も心配するわ。だから…ね?」
それ以降、テファは屋敷の外に一切出ることが出来なくなった。同時に、『彼』と会う機会が一切なくなってしまった。ただ、『彼』の存在がバレずに済み、彼がアルビオン軍などから危険動物として狙われたりすることはなかった。
もちろん、『彼』は屋敷の草陰から覗き見てテファの来訪を待ち続けていたが、彼女は表に出ることができなかったため、合うことは叶わなかった。彼は、ただ屋敷の草陰から覗き見続けて待ちぼうけるばかりの日々が続いた。
そして、ある日…。
先ほど、『彼』の存在はバレずに済んだ…とは確かに言った。しかし…『彼女の存在がバレなかった』訳ではなかった。
森の中で遊ぶテファと『彼』のことが、偶然彼女たちが遊んでいた森を通った通行人が、「エルフの子供とクマのような魔物がいる」…と、テファの住んでいた領土に駐在していたアルビオンの駐屯兵に報告してしまったのだ。
そのことは、領主であるモード大公の兄、ウェールズの父であるアルビオン王ジェームズ一世にも伝わってしまったのだ。
ある日、ついにそのことで王政府から派遣された貴族が、ちょうど屋敷に帰ってきていたモード大公の屋敷を訪ねてきた。屋敷のエントランスにて、彼らは会合した。
「ずいぶんなご挨拶ですな。なぜ国王陛下の軍がわざわざ…」
「『ご挨
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