第21話 初陣 その1
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艦隊だ。残念ながら士官学校の時の練習艦隊と同レベルの陣形構築ではあったものの、一時間かからず部隊を整然と運行する一つの集団へと変化させた。各小戦隊や独立小隊の指揮官から布陣完了の連絡が、旗艦“ババディガン”へと伝えられ、俺は全部チェックの上リンチに報告する。
「第七一警備艦隊第一任務部隊、全艦配置完了しました」
「よし、D−〇一ポイントより一〇ポイントまで捜索を開始する。各艦予定通り作戦行動を開始せよ。スパルタニアン、全機発進」
リンチの命令を俺が復唱し、それを“ババディガン”のオペレーターがさらに復唱する。各艦へ指示が行き渡るまでに数分。巡航艦は六隻一組で八集団。四集団で二列横隊を組む。それぞれに宇宙母艦が一隻ずつ同行し、スパルタニアンが直衛と探索の二班に分かれて集団から発進する。それぞれが分散しても各個撃破されないよう、リンチ直卒の戦艦部隊と宇宙母艦二隻が二列の中間に位置し、即応用の駆逐艦小戦隊が六隻四集団で、直卒集団の周囲を囲んでいる。この陣形で小惑星帯を上部からスパルタニアンと各艦のセンサーで掃除機のように探索していく。いわゆる二重ローラー作戦だ。
「すぐに発見できるとは思えませんので、司令は先に休養されてはいかがですか?」
もし発見できるようなら跳躍直後の全周回センサーで発見されているだろうと、俺は暗にリンチに諭した。一瞬、俺をリンチは睨み付けたが、数分間無言で腕を組んで画面を見た後で頷いた。
「俺が休んでいる間は、誰が部隊を統括する?」
「それは当然、首席参謀のエジリ大佐にお願いすべきです」
「オブラックとカーチェントは?」
「後方参謀殿と情報参謀殿にはそれぞれにお仕事があります。何かあれば、小官が起こしに参ります」
「……よかろう。エジリ大佐!!」
リンチの鋭気の籠もった声に、左翼の参謀席で腕を組みじっとババディガンのメインパネルを見ていたエジリ大佐が、顔をこちらに向けゆっくりと立ち上がり、リンチに敬礼する。
「お呼びでしょうか、リンチ准将閣下」
「俺は先にタンクベッドで休む。貴官は俺の代わりに今から四時間、指揮を代行して貰う。二交代三ワッチでいこう。それでいいか?」
「承知しました」
「ボロディン中尉を艦橋に残しておく。敵襲、敵基地発見の場合はすぐに知らせろ。人工物発見の場合は適時判断せよ。判断は大佐、それと中尉に任せる」
「「はっ」」
俺とエジリ大佐が敬礼すると、リンチも面倒くさそうに答礼してから艦橋後方のエレベーターへと向かっていく。リンチの姿が見えなくなったところで、俺は改めて指揮官席に座ったエジリ大佐を見た。
壮年のアジア系。それも前世よく見かけた日本人特有の容姿を色濃く残している五〇代後半の男。もし二〇年前、この世界に渡ってこなかったら、俺も彼のような容姿になって今も会社に通って
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