幽鬼の支配者編
EP.25 暴走する魔人
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考えたワタルだったが、すぐに思い直す。
彼女の抱えているものを吐き出させると自分は言った。
ならば避けては駄目だ、受け止めなくてはならない。
「……6年前のあの時と同じだな……」
覚悟を決めると、思い出す。
ギルドに入ってすぐ、彼女はどうしようもない理不尽に苦悩し、涙を流していた。
事情は違うが、過去も現在も、そんな彼女に立ちはだかっているのは自分だ。
6年前は弟と妹が彼女を踏みとどまらせた。
なら現在は?
「他に居ないなら……やるしかないよな」
傲慢でも何でもいい。
あの技を破る力を、彼女の心を負の感情から解き放てる力を自分に。
そう強く想い、ワタルは身体の奥底から魔力を練り始め、全身、特に足に魔力をみなぎらせる。
動く気配も無い彼に、魔人は掌の魔力を解き放った。
「“ソウル・イクスティンクター”!!」
黒い魔力はまっすぐにワタルに向かい……今までの攻防が嘘かと思うほどにあっさりと彼を飲み込んだ。
そして……
「……はああぁぁあああああああああぁぁぁあああああ!!」
「!?」
自分が解き放った魔力が消えるのも待たず、魔人は魔力の渦から飛び出した黒い妖精の紋章を見た。
もちろん、ワタルの右腕に刻まれている仲間の証だ。
ワタルは魔力に飲まれる直前、足に集めた魔力の爆発を推進力として、巨人の腕を蹴ってロケットのように魔人の方へ飛び出していた。
そして、魔力の渦と接触する面積を少しでも減らすため、右半身を傾けて彼女の技と平行になるように体勢を作ると、両腕で顔を庇い、全身にみなぎらせた魔力を右半身に集中することによって簡易的な魔力の盾を形成し、一点突破を図ったのだ。
もちろん、膨大な魔力がワタルの肌を焼くなどの火傷などを負い、無傷では済まなかったが、それでも魔力の渦の突破に成功。
飛び出した勢いのまま、驚愕で硬直している魔人の身体の中心部に右の肘と左の拳をぶつけて……
「“魂威・大浪”!!」
「――――――――――――――!!」
十八番が炸裂。
流れ込む異物の魔力に彼女の体内の悪魔因子が反発、魔人はその拒絶反応から暴れ、まるで断末魔のような絶叫を上げた。
「姉ちゃん!!」
「(これ以降のチャンスは無い、絶対決める!)とっとと戻って来い、ミラジェーン!!」
“獣王の魂”を解き、魔導巨人を舞台にしたワタルと魔人の攻防に割って入れずに、姉の無事を祈って彼らの戦いを見守るしかなかったエルフマンが、殴られようが蹴られようが引っ掛かれようが、魔人から離れない、ワタルが叫ぶ。
そして数瞬後――現在進行形で抵抗を受けているワタルにはもっと長く感じたが――魔人の身
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