幽鬼の支配者編
EP.25 暴走する魔人
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違いなしだぜ!」
戦争中とはいえ、これは内輪もめ。さらに相手は油断ならない“魔人”。
正面から彼らと戦ったとしても負ける気はしないが、今は別だった。
しかし、一応危険を喚起しても、血気に逸る彼らがそれを聞き入れるはずも無く、魔導士たちは各々に武器を持ち、或いは魔力を練り始める。
「チッ……警告はしたぞ!」
「“イビル・スパーク”!!」
「「「「ギャアアアアアアアアアアッ!!」」」」
吐き捨てた瞬間……魔人がワタルを追って通路に飛び込んだ。
驚く暇も無く、魔導士たちは彼女が両手に纏わせた紫電に巻き込まれ、悲鳴を上げて倒れる。
「それみたことか。ったく……!」
ワタルは両手に魔力を込めると、高速で突っ込んできた魔人にタイミングを合わせて手を突き出し、魔力を放出し続ける事で電撃を相殺する。
だが、それでは致命的なダメージを防げるだけ。飛散した電撃が身体を少しずつ焼き、ワタルは痛みに顔を顰める。
「グ……おい、ミラ! いい加減に目ェ覚ましやがれ!!」
「アアアァアアアアアアアアアアアアァァアアアアア!!」
「聞いちゃいねぇな……この!」
返事ではなく咆哮で応えた魔人は電撃の力を強める。
堪らずワタルは蹴りで彼女を何とか引き剥がして距離を取ると、掌を開閉させる。
戦闘に支障が無い事を確認すると、彼はファイティングポーズを冷静に取る。
「よし……久しぶりだな、ここまでの戦いは……。こうなったらもう、とことんやってやるよ……胸に溜まってるモン全部吐き出せ!! その上で、お前を止めてやらァ!!」
否、冷静ではなかった。
2年前までのミラジェーンの好戦的な性格が伝染ったかのように不敵な笑みを浮かべ、吠えるワタル。
どんな負の感情が彼女をそうさせているのかを、考えている暇はない。そんな事を考えているなら、とにかく動く。考えるのは解決してからだ。
そんな思考で、ワタルは崩れた壁から外へ駆け出した。
彼女の全力をこんな屋内で受け止めようものなら、間違いなく崩落の下敷きになってしまうからだ。
短絡的で脳筋な思考をしていても、戦いにおいては冷静なワタルだった。
「ほら、着いて来い!」
飛び出し、鎖鎌を使ってターザンの要領で巨人の身体を駆けあがるワタルを、魔人は翼を使って追跡する。
「! これは……」
逃走劇の中、魔人が射出した湖の水で圧し折られた巨人の上腕に立った彼が悪寒を感じて振り返ると、魔人は両手に魔力を集中させて、漆黒を作り出していた。
溜められた悪魔の魔力は凄まじく、球型に留めきれていない魔力が放電のような現象も起こしている。
「(結構な魔力だな……どうする?)……決まってるだろ」
一瞬避ける事を
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