幽鬼の支配者編
EP.25 暴走する魔人
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移そうとしたワタルだったが、そうはいかなかった。
「(躱され――)……クソ!」
「グ……!」
紙一重で体勢を崩しながらも、身体を大きく捻って躱されてしまったのだ。
意表を突き返されたワタルだが、すぐにこれに反応。魔人が体勢を整える前に、足をしならせてその脇腹を捉えて吹き飛ばし、下……湖へ墜落させる。
「暴走していても、経験で“魂威”の特性を覚えていたのか? 流石、元歴戦と言うかなんというか……それに、このまま終わる訳ないよな……」
鎖鎌を投げて鎌を巨人の腕に引っ掛けて落下を防いだワタルは、相変わらず高い戦闘能力を持つ“悪魔の魂”に嘆息した後、水柱を立てて着水した彼女の様子を見ていた。
そして、彼女が湖に消えた数瞬後……魔力反応とともに、湖が渦を巻き始める。
中心にいるのは、当然、銀髪の魔人。
手に水を纏うために回転しているが……客船すら飲み込んで余りあるほどの巨大な渦の発生は、その余波にすぎない。
暴走する魔力量に冷や汗をかきながらも、ワタルはすぐに鎌を外し、自由落下に任せてその場から離れた。
「この魔力……久しぶりすぎて加減忘れてるな、ありゃ……!」
「“イビル・エクスプロージョン”!!」
爆発的な威力で射出された湖の水が、ワタルが今の今までいた場所……巨人の腕を、勢いと水圧に任せて圧し折った。
「わぷっ……なんつー威力だ……なにっ!?」
「アアアァァアアアアアアアアアアアアアアアァァアアアッ!!」
飛散した大量の水をかぶったワタルは咳き込みながら首を振る。
視界を邪魔する水を払うと、拳に黒い魔力……悪魔の魔力を集めた魔人は既に目の前にいた。
反射的に腕をクロスさせて防御姿勢を取ったが、咆哮と共に彼女が腕を振り抜けば、そんな物は無かったと言わんばかりに彼の身体を吹き飛ばす。
「ガッ……クソ、ミラの奴、こんなに強かったっけ? 暴走しているからか? いや、それにしたって……」
殴り飛ばされたワタルは、巨人の腹辺りの壁を砕いて通路に転がり込む。
衝撃と痛みに呻きながら、記憶よりもはるかに強い彼女の力に疑問を抱いたが、それどころではなかった。
「クソ……何だ!?」
「分からん! いきなり何かが突っ込んできたんだ!」
「コイツは……ワタル・ヤツボシ、“黒き閃光”だ!」
ちょうどワタルが突っ込んだのは幽鬼の支配者の構成員の詰所の一つだったようで、20人ほどの魔導士が彼を取り囲んでいた。
余りの間の悪さに、彼が舌打ちを零したのも無理はないだろう。
「なんと運の無い……おい、お前ら! とっとと逃げた方が良いぞ!」
「んなもん知るかよ!」
「コイツを討ち取れば昇進間
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